表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【歴史ランキング1位達成】 累計331万1千PV 僕の戦国時代  作者: 虫松
僕の戦国時代外伝「宮本武蔵!復活 二刀流」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

270/291

第8話 敵だらけの男

風向きが、変わった。


蝦夷の話が広まった瞬間から、

政宗の周りには敵の名簿が積み上がっていった。


四方八方、敵


上杉家

「伊達が北を押さえれば、商いも人も吸われる」


真田家

「国を売り物にするとは、武士のやることではない」


そして、反伊達派。

家中からすら声が上がる。


「政宗様は走りすぎている」

「利益の行き先が見えぬ」

「誰のための開発なのか」


妨害は、露骨だった。


道は止められ、

資金は渋られ、

噂は尾ひれをつけて広がる。


伊達は、私腹を肥やすつもりだ。


政宗は、正面から突破しようとした。


「通さぬなら、通すまでだ」

「金が足りぬなら、さらに集める」


そのやり方は、

かつては“正解”だった。


だが今回は違った。


「伊達だけが得をする」

そう思われた瞬間、人は離れる。


リゾート計画は、

中断寸前まで追い込まれた。


夜更け。

城の一室。


政宗は、鎧も兜も脱ぎ、

膝を抱えるように座っていた。


「……なあ」


珍しく、声が低い。


「俺は、間違っているのか」


言葉が、止まる。


「国を豊かにしたいだけだ」

「戦で奪うより、

 人が集まる国を作りたいだけだ」


拳が、畳を叩いた。


「だが 誰も信じぬ」


それは、

奥州の覇者ではない、ひとりの男の声だった。


僕は、静かに言った。


「政宗。

 あなたは、全部を取ろうとしています」


政宗が顔を上げる。


「国も、道も、金も、信用も」


「でも、人は

 “自分の取り分”が見えないと、動きません」


地図を広げる。


「利益を、分けましょう」


「伊達だけで独占しない」


「上杉には、上杉の土地の利益を」

「真田には、街道の運営権を」

「地元には、宿と案内の主導権を」


政宗は、目を細めた。


「……俺の取り分は減るぞ」


「いいえ」


僕は笑った。


「増えます。長く」


「共に栄える仕組みは、 敵を“仲間”に変えます」


沈黙。


そして政宗は、ゆっくりと笑った。


「なるほどな」


「俺は、“奪う戦”しか知らなかった」


立ち上がり、背筋を伸ばす。


「ならば、学ぼう」


「共存共栄という戦い方を」


その夜、

政宗は決めた。


刀ではなく、

利益で人を結ぶ。


敵だらけの男は、

やがて


人が集まる男へと変わっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ