第4話 株式会社という禁断の発明
湯気の立つ座敷。
政宗が腕を組み、眉をひそめている。
「……で?」
「その“かぶしきがいしゃ”とやらは、
誰の城なのだ?」
僕は一息ついて言った。
「みんなの城です」
政宗、噴く。
「はぁ!?」
株式会社という異物
「城を一人で建てるから、潰れる」
「だから——
石垣を市民に持たせるんです」
机に並べた紙。
・出資した者は
・“株券”を持つ
・利益が出たら配当
・失敗しても、首は飛ばない
政宗、黙る。
「……つまり」
「命を賭けぬ戦か」
「そうです」
政宗、ニヤリ。
「市民から金を集めるとは……」
立ち上がる。
「面白い!!」
「武士も商人も農民も、同じ船に乗せるか!」
説明会地獄、始まる
場所:城下の大広間。
商人、豪農、寺社関係者——
ずらり。
僕、説明。
「こちらが株券で——」
商人A
「紙切れではないか」
豪農B
「伊達が儲けるだけでは?」
僧C
「徳がない」
信じた者:2割
信じない者:8割
空気、最悪。
政宗、腕を組んだまま一言。
「……中田殿」
「これは、戦だな?」
「ええ。信用の戦争です」
歌舞伎町・伊達政宗、爆誕
夜。
城下の繁華街——
なぜか歌舞伎町みたいな一角。
赤提灯。
見世物小屋。
人だかり。
そこに——
政宗、登場。
派手な羽織。
独眼、ギラリ。
突然、
歌舞伎口調で見栄を斬る。
「東北の衆よォォォ!!」
「聞けィィィ!!」
通行人、足を止める。
「この伊達政宗がァ!」
「金を借りると思うたかァァ!!」
「否ァァ!!」
「共に儲けるのじゃァァ!!」
ドン!!
「湯はある!
山はある!
人もおる!」
「無いのは——
道と金と覚悟だけ!!」
「それを出すのが、この“株”よ!!」
政宗、指を突き上げる。
「儲かったら分ける!」
「失敗したら——
伊達が恥をかく!!」
「命は取らぬ!!首も刎ねぬ!!」
一瞬の静寂。
次の瞬間。
「……それなら」
「少しなら」
「話を聞こう」
ざわ……ざわ……。
一件落着(?)
翌朝。
申込書、山。
政宗、満足げ。
「ほほう……人は、
夢なら金を出すのだな」
僕は苦笑。
「でも、責任も一緒に来ます」
政宗、豪快に笑う。
「がはははは!!」
「逃げ場のない戦、嫌いではない!!」
政宗、扇子を開き、
最後に一言。
「これにて——」
大見得。
「一件らくちゃーーーくーーーうーー!!」
拍手喝采。
だが僕は知っている。
これは始まりの始まりだ。




