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【歴史ランキング1位達成】 累計331万9千PV 僕の戦国時代  作者: 虫松
第十三部 関ケ原の戦い 下

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第8話 不幸でした。

三方向からの軍隊の包囲。

それは机上の空論ではなかった。


立花宗茂隊、右。

明石全登隊、左。

そして正面に、中田隊(僕)。


徳川家長の血走りの軍団一〇〇〇は、

気づいた時には“戦場の孤島”になっていた。


逃げ道はない。

援軍は来ない。

後退すれば、背中を撃たれる。


要塞は、囲まれた瞬間から

ただの棺桶に変わる。


「家長様!右より立花隊、左より明石隊!

砲撃と鉄砲で削られ、防戦一方にございます!」


家長は、眉一つ動かさなかった。


「……中田の策か」


低く、乾いた声。


「左右の砲台部隊は“壁”になれ。

本隊五〇〇をまとめ、中田軍へぶつける」


「はっ!」


「我らが勝てば、それが家康公の勝利となる」


家長は、静かに続けた。


「騎馬砲兵は、何騎残っている」


「五〇騎ほど……!」


「よし。騎馬戦車部隊として再編。

強行突撃を行う」


部下が息を呑む。


「後方より血走りの軍が追随。

中田軍を、すり潰せ」


命令は、淡々としていた。

だがそこに、憎悪が滲んでいた。


(……来る)


嫌な予感は、外れない。


俺は火縄銃を握り直した。

クロスボウじゃ、あの鋼鉄は抜けない。


その時


「ウオオオオオォォォォ!!」


地鳴り。


騎馬隊が、前に集結していく。


(やめろ……それは……)


次の瞬間。


突撃。


ドッドドッドドッドドッ!!


地面が跳ねる。

内臓が揺れる。

死が、速度を持って迫ってくる。


「盾の部隊!!装甲車!!

突撃を受け止めろ!!」


間に合わない。

石を投げる暇もない。


「弥助!!

武蔵!!

くノ一隊!!、突っ込むぞ!!」


ドォォン!!


盾が砕け、

装甲車が押し戻され、

人が宙を舞う。


「ヤルゼ!タイショウ!!」


弥助が、最初に突っ込んだ。


金棒が振るわれるたび、

騎馬兵が“物”のように吹き飛ぶ。


「くノ一隊!!突撃!!」


女たちが、悲鳴も上げずに斬り込む。

血と鉄が混ざり合い、

戦場は完全な乱戦地獄になった。


その中で


(武蔵は!?)


見えた。


馬も避けず、

人も避けず、

一直線に走っている。


……家長の戦車隊へ。


「バカ!!それは無理だ!!」


石を投げる。

当たらない。


戻ってきた。


「一泡吹かせてきたでござる」


余計なことを。


その瞬間。


家長と目が合った。


「……見つけたぞ」


徳川家長が、俺を見ていた。


騎馬戦車から跳び降りる。

三俣の鉾を握り、走る。


「いざ、勝負!!」


僕は火縄銃を構え、引き金を引いた。


パァン!!


家長の右足に当たった。

だが、止まらない。


次の瞬間。


衝撃。


「ぐぁああああ!!」


左肩を、槍が貫いた。


軽い。僕の体が宙に浮く。


僕は、肩に槍に刺さったまま空中に持ち上げられていた。


「痛てぇぇぇ……!!」


「ふははははは!!

もっと苦しめ!!子を捨てた罪を、味わえ!!」


家長の顔は、歪んでいた。


「竹千代……人質にされたお前を、救えなかった……すまなかった」


「すまない?」


吐き捨てるように。


「そんな言葉で、私の人生が戻ると思うな!!」

「死ぬが良い!地獄で詫びろ!!」


怒号。


「私は人生は不幸だった!!

だが今は違う!!」


――ドォン!!


地面に叩きつけられる。


「がぁぁぁぁ!!」


僕の左肩が、強烈に打撲。

音でわかる。


「今の私は!!徳川家長だ!!

天下人になる男だ!!」

(この戦!私の勝ちだぁあ!)


槍が、高く掲げられる。


僕の首を、狙って。


(……終わった)


★カキィン!!


石が、飛んだ。


「何奴!!」


「オマエなぁ!!

自分だけ不幸だと思ってんじゃねぇぞ!!」


声。


「俺ナンカ!!奴隷トシテ売ラレテ!!

知ラネェ日本ニ連レテコラレタンダゼ!!」


「……弥助!!」


弥助が、立っていた。


「タイショウ!!大丈夫カヨ!!

俺がシツケしとくから!!

チョット休ンデナ!!」


家長が睨む。


「中田軍の黒鬼とは、貴様か」


「鬼じゃネェヨ〜

人間ダヨ!!

オマエと同ジダ!!」


血と憎しみの戦場の中心で、関ヶ原の戦いは、まだ終わっていなかった。


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