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【歴史ランキング1位達成】 累計331万1千PV 僕の戦国時代  作者: 虫松
第十三部 関ケ原の戦い 下

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第7話 大勝負しました。

僕は、本多忠勝と徳川家長の一騎打ちを、

泥と血に濡れた関ヶ原の低地から遠目に見ていた。


「おおお……おおおおぉぉ……!」


歓声とも、悲鳴ともつかぬうねりが、

東軍の陣から湧き上がった。


本多鬼イ様が

膝から、前のめりに崩れ落ちた。


……勝った、のか。


「……強いな……」


思わず、呟いていた。


あれは本当に、僕の息子なのか。

(カッコいいし強いし、育てられた環境でこうも変わるのか?)


本多鬼イ様は倒れきらず、家臣二人に両肩を抱えられ、

引きずるようにして後方へ運ばれていく。


生きているのか。

死んでいるのか。


どちらにせよ、あれほどの男を“倒した”事実だけが、

戦場に重く残った。


(ついやんちゃで、やっちまったな……)

(現代なら刑務所だ)

(……いや、ここは戦国だ)


戦が終われば、お見舞いに行こう。

僕が生きていれば、だが。


最悪、僕の墓に、本多鬼イ様が線香を上げに来るかもしれん。


そんなことを考えている場合じゃない。


「さぁ中田軍!!

最後の大勝負だぁ!!」


「 「 「うわあああぁぁぁぁぁぁ!!」 」 」


最後の関ヶ原が、完全に牙を剥いた。


徳川家長の血走りの軍団が、

霧と硝煙を引き裂いて迫ってくる。


前列は、家長の西洋鋼鉄の重装兵。

人ではない。歩く城壁だ。


その両脇に、巨大な大砲銃部隊。


さらに外側に、火縄銃隊。


中核には、長槍を密集させた兵列。


ゆっくり。

だが確実に。


人間重戦車が、地面ごと戦場を押し潰してくる。


左右の砲撃が火を吹き、

正面の敵兵が消える。


叫ぶ間もない。


潰され、

跳ね飛ばされ、

踏み砕かれ、

泥と血の区別もなくなっていく。


進軍した跡には、血の筋が、

引きずられたように地面に残った。


(……要塞だ)

(動く要塞が、こっちへ来ている)


「装甲車部隊!盾の部隊!前へ!!」

「後方から弥助ノック!!武蔵ピッチング!!」


「石がないでござる!!」


「何でもいい!!


落ちてる物を投げろ!!」


折れた刀。

曲がった槍。

血にまみれた兜。

……名前を呼ばれなくなった“何か”。


空を飛ぶそれらは、

もう武器ですらなかった。


ただの、絶望の投擲だった。

だが家長の軍は止まらない。


砲撃。

銃撃。

圧殺。


前列が死ねば、

次が踏み越えてくる。


個人の勇など、

すでに存在しない。


その時だった。


「中田殿、助太刀に参った!」


立花宗茂。

三千。


生きた刃が、右から突き刺さる。


「家長軍を、鉄砲早込で横から叩いてくれ!」


「かしこまった!」


さらに


「明石隊、援軍に参った!」


キリシタン四千。


左から、祈りと銃声が降り注ぐ。


(三方向……!)

(分断できる……!!)


正面からぶつかれば、

踏み殺されるだけ。


ならば、

囲んで、削って、

内側を食い破るしかない。


「中田軍!!

家長の本隊を狙う!!

準備しろ!!」


僕は、人間要塞への突入を決断した。



◇◇◇



徳川家康陣内。


「申し上げます!

毛利隊、動き出しました!

小早川隊壊滅!

東堂隊、京極隊、全軍撤退!!」


「……」


「家康公、後方へ援軍を――」


「わしは、逃げる」


沈黙。


「準備を致せ」


「……どこへ逃げられるのです!!

後方は戦の最中!

鈴鹿山方面も、すでに制圧されています!!」


影武者の家康の顔が、歪んだ。


(いえなが……!)

(話が違うではないか……!!)


天下どころか、

逃げ場すらない。

袋の鼠。


関ヶ原は、もはや戦ではなかった。

生き残る資格を、奪い合う処刑場だった。

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