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【歴史ランキング1位達成】 累計331万1千PV 僕の戦国時代  作者: 虫松
第十三部 関ケ原の戦い 下

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第6話 首をとりにきました。


「家長!きさまああああ!!」


突如、戦国最凶の一 騎打ちが始まる

関ヶ原の湿地に、異様な静寂が落ちた。


血走りの軍団 千人。

その目前に、本多忠勝隊五百が壁のように立ち塞がる。


両軍の間隔、わずか馬二頭分。


次の瞬間、

本多忠勝は馬上から飛び降りた。


重く、鈍い音。

大地が、忠勝を受け止める。


それを見て、家長も騎馬戦車から降りる。

二人は、同じ高さで向かい合った。


空気が、張り詰める。


忠勝の声が、雷のように響いた。


「家長ァ!!家康公からあんだけの御恩もろうといて、

よくもまぁ殺したもんだなァ!!」


家長は微笑みすら浮かべる。


「何を仰る、忠勝様。

家康公は我が陣の後方にて、今も指揮を」


「黙れ!!」


忠勝が一歩、踏み込む。


「黙っとれやァ!

貴様ァ、この先ゃ秀忠様まで消して、天下をかっさらうつもりだらァ!

だがなァ、そうはいかんでよ!!」


家長の目が、わずかに細くなる。


「……虚言ですな。

忠勝様は本当に家康公にお会いなされたのか?」


一瞬の沈黙。


「それとも――

中田殿に情が移ったか?」


忠勝の額に、血管が浮かぶ。


「ごちゃごちゃ抜かすでねぇわァ!

貴様の首もらうまで、わしゃ退かんでよ!!」


「……そうですか」


家長は、ゆっくりと三俣のトリアイナを構えた。


「戦国屈指の猛将、本多忠勝。

その最期を、この目で見られるとは

光栄ですよ」


忠勝は、蜻蛉切を真っ直ぐ突き出す。


「ほざけ!!」


✴ギャリィィィン!!


槍と槍が激突した瞬間、

火花が散り、金属音が戦場を裂いた。


忠勝の突き

鋭く、重い。


家長は、間一髪で弾く。


(――強い)


忠勝は即座に悟る。


(こいつ……ただの成り上がりではない

この一撃を、受け止めおった……!)


家長の両腕に、痺れが走る。


(両手で握ってなお、この重さ……

これが“蜻蛉切”か!)


「うおおおおお!!」


忠勝、間髪入れず二の太刀。


袈裟斬り――

首を断つ軌道。


✴ギャリリリリ!!


蜻蛉切とトリアイナが噛み合い、

槍柄同士がきしみ合う。


両者、そのまま回転。


力と力の押し合い。


「……っ」


忠勝の腕が、わずかに震えた。


五十五年の戦。

無傷で生き抜いてきた男の肉体にも、確実に歳は刻まれている。


家長が、低く嗤う。


「幾千の猛将といえど

時には勝てぬ相手もおりますな!!」


家長は、体重を乗せ、上から押し潰す。


忠勝の膝が、泥に沈む。


「ぐ……!」


「衰えたのですよ、忠勝様!!」


次の瞬間


ズンッ!!


家長は自ら泥に足を突っ込み、

反動を使って忠勝の顔面へ蹴り上げた。


「ぐわぁっ!!」


泥が炸裂し、忠勝の視界を奪う。


その一瞬――


「これで終いだ!!」


トリアイナが、腹へ突き込まれる。


「永遠に勝ち続ける武将など――いない!!」


「ぐああああああ!!」


忠勝は、紙一重で致命傷を避けた。


しかし――

三俣の刃が腹を裂き、血が噴き出す。


「……っ」


片膝をつく忠勝。


(家康公……

この忠勝、不甲斐ねぇで、申し訳ねぇ……)


そこへ――


「殿ォォォ!!」


本多隊五百、雪崩れ込む。


家長が一歩、退く。


「……勝負は、つきましたな」


忠勝を見下ろし、静かに言う。


「次は評定場で決着をとは、いきませぬか」


踵を返す。


「同じ東軍で、よかったですな。

西軍であれば、問答無用で首を刎ねておりました」


家長は血走りの軍へと戻っていく。


泥と血にまみれた忠勝は、

仲間に抱えられ、戦場を離れた。


忠勝、初めての敗北。


だがその敗北は、

徳川の闇を白日の下に晒した一太刀でもあった。


関ヶ原は、さらに深い地獄へと踏み込んでいく。

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