第5話 鷹狩りをしました。
左右を固める身長180cm超えのマッチョマン二人。
その真ん中を歩く僕。
知らない人が見ればどう見ても
”極道の親分”である。
人々は道を空け、
なかには道端で正座し、頭を下げる者まで現れる。
(違うんです。
僕、そんなに悪い人じゃないんです)
そこへ
勝手についてきた男。
宮本武蔵である。
とにかく体臭が臭い。
信じられないほど臭い。
風呂に入らぬのが流儀らしく、
「これは相手の集中を乱す兵法」とか言っている。
髪はボサボサ、
着物は汚れ、
近づくと目がギョロギョロしてこわい。
僕は腹が減ったので通りの飯屋に入った。
九州といえば
馬刺し。
舌の上でとろける、
赤身の旨味。
「あー……うまい……」
……しかし。
店内が、
なんか臭い。
いや、
明確に臭い。
「クサインダヨ!オマエ!アッチイケヨ!!」
弥助が鼻をつまみ、
手をバタバタさせながら武蔵を追い払おうとする。
「うぬ!
これは敵の隙を誘う高度な兵法!」
「クサイ兵法ヤメロ!」
その瞬間
「スキあり!!
うおりゃあああ!!」
いきなり刀を振り下ろす武蔵。
「アブネエェナ!!
店でソンナ物騒ナモン振り回スンジャネエヨ!!」
弥助、店の椅子で、うけ止める。
店内、騒然。
そこへ店主が出てくる。
「……他のお客様に迷惑になりますんで……」
完全に呆れ顔。
「ミッチー!(石田 三成)
お会計! おあいそ! 勘定してー!」
(……なんで僕は
戦国時代でコントみたいなことしてるんだろ……)
「ところで宮本武蔵って
二刀流じゃなかったんですね?」
「二刀流とは何でござるか?」
「えっ!?
僕が教えちゃダメでしょ!?
自分で開眼してよ!!」
武蔵、真顔。
「つまり……
刀は一本にこだわるものではない、と?」
「そうそう!
使えるものは何でも使う主義でしょ?」
「なるほど……
ならば脇差も、石も、皿も……」
「店ノ皿ハ投ゲルナ!!」
弥助がツッコミ役に完全転向している。
【二天一流】
宮本武蔵が晩年に熊本で完成させた兵法
武蔵は二刀流をたえず使っていたわけではなく
沢山の敵に囲まれたら脇差の刀も使った方が
いいでしょ。ようは使える物はなんでも使えという
考えだった。脇差もいざとなれば投げちゃうらしい。
◇◇◇
九州をほぼ回り、
僕は四国へ地ならしへ。
四国全土は
長宗我部元親。
気がつけば僕は
鷹狩りに連れてこられていた。
行きたくないのに。
戦国時代の鷹狩りとはつまり
ゴルフ接待である。
逃げ場はない。
鷹狩り接待地獄
「獲物を捕らえるために
鷹を放つ、その一瞬の見切り……
戦場勘を養うのだ。
そうは思わぬか?」
「えー……
その通り思います(棒)」
「見よ!
わしの自慢の鷹の翼を!」
鷹、
デカい。
目が怖い。
爪が凶器。
「どうじゃ!
みごとであろう!」
「……見事な翼でございますな……」
(いや、怖い。
めちゃくちゃ怖い)
鷹、
僕の方を見る。
目が合う。
(絶対、
“獲物”として見てる……)
「獲物のとらえ方が的確というか……
賢いんでしょうね……」
「ほう!
中田殿は鷹の習性をよくわかっておるな!」
(知らん!!
適当に言っただけだ!!)
「この鷹はな、
信長様より頂いたのじゃ」
(あ、出た。
結局、信長自慢)
鷹、
バサァッ!! と羽ばたく。
僕、ビクッ!!
(無理!!
怖い!!
鷹、近い!!)
こうして僕は、
中国地方のみかんを大量に土産として受け取り、
家路につく。
後ろでは
「風呂ニ入レ!クサイ」
「兵法でござる!」
という
武蔵と弥助の漫才が続いていた。
教訓
・武蔵は臭い
・弥助は常識人
・鷹狩りは退屈
・鷹は普通に猛禽類、怖い
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【巌流島に宮本武蔵の名前がつけられていない伝説】
巌流島は元々は舟島と呼ばれる島だった。
それが佐々木小次郎が巌流(岩流)と名乗ったことから
巌流島になったと言われている。
しかし、普通であれば勝った方、宮本武蔵の名前が付けられるのが
通例である。何故つけられなかったのか、
実は気絶した小次郎に隠れていた武蔵の弟子たちが出て来て
複数の人数でトドメをさしたという説があるのだ。
嘘か誠かわからないが、このような噂が
たつということは、宮本武蔵は当時の人達に
かなり嫌われていたのかもしれない。
【佐々木小次郎は60歳のおじいさんだった?】
佐々木小次郎といえば面長の美青年で物干し竿という長剣を
燕斬りという上から斬り下ろした刀を下から跳ね上げる剣技
の使い手です。このイメージは宮本武蔵という小説から
きてます。
佐々木小次郎は巌流島の戦い時の年齢は60歳の
お爺さんだったとの説があるのです。
歌舞伎も老けた人が演じています。
そもそも宮本武蔵に関わる資料が自伝の二天一流に基づいており
60勝0敗の話も誰と戦ったのか詳しく記されていません。
佐々木小次郎は本当に現存していたのかという所まで、
突き詰めてしまえばなってしまうのです。
夢物語だったのか本当に戦ったのかわかりませんが
いつか真実が明かされる日が来るかもしれません。




