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【歴史ランキング1位達成】 累計331万1千PV 僕の戦国時代  作者: 虫松
第九部 天下統一編

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第9話 震えました。

長久手の戦いで三好秀次他敗戦を聞いた羽柴秀吉は急いで

援軍をおくるべく本陣、楽田より2万の軍勢を率いて進軍していた。


徳川家康は大勝利にも関わらず”秀吉が速やかに軍を動かすので矢田川の線まで

敗残兵を追った、


ならば小幡城へ戻るよう”と厳命した。

12時ごろ終わった戦いの後

徳川と織田信雄の軍勢およそ9000は小幡城へ戻った。


僕と伊達正宗の軍勢約5000の兵は長久手の平原

で秀吉の軍勢を待ち構えた。

(ここで秀吉を大阪城に戻してしまっては、歴史は変わらない。秀吉は天下を

平定してしまう。)



長久手の平原。

昼下がりの風が、生臭い戦場の匂いを運んでくる。


横を見る。


伊達政宗、馬上でブルブルしている。

いや、ガタガタだ。


「……伊達殿」


「な、なんでござるか!」


声が一音高い。


「震えてますよね?」


「震えておらぬ!!」


即答。

間が一切ない。


「これはな、血がたぎっておる音でござる!」


「音?」


「そう!武者の魂が身体を内側から叩いておるのだ!」


ガタガタガタガタ。


馬も一緒に震えている。


「馬まで魂がたぎってますね」


「馬も伊達でござる!!」


意味が分からない。


「秀吉の二万が来ますよ」


「来させればよい!!

この伊達政宗、

二万でも三万でも受けて立つ!!」


そう言って、

政宗は槍を掲げる。


……穂先がカタカタ揺れている。


「槍、揺れてますよ」


「風でござる!!」


「無風です」


「伊達の風でござる!!」


しばし沈黙。


政宗、周囲をキョロキョロ。


「……くノ一は、まだか?」


「さっきから伊達様の左右後ろ前、

四方八方を囲んでます」


「……うむ。よし」


安心した顔をするな。


「ところで伊達殿」


「なんでござるか!」


また高い。


「さっき“小用”って言ってましたよね」


「戦の前の戦略的排出行為でござる!」


「逃げる気でしたよね」


「逃げぬ!!ただ、退路を確認しただけでござる!!」


「それを世間では逃げ道って言うんです」


「違う!!伊達は常に勝った後の動線を考えておるだけでござる!!」




遠くで太鼓の音。

秀吉軍、二万人の接近。


「……ほら、伊達殿。秀吉、来ましたよ」


「ふ、ふふ……」


笑った。

完全に作り笑い。


「秀吉が何ぼのものか……

伊達の前では、ただの尾張のサルよ……」


語尾が震えるな。


「伊達殿」


「な、なんでござるか!」


「最初の突撃、お願いしますね」


「……」


一拍。


政宗、胸を張る。


「よいか!

伊達の戦は、最初が一番派手でござる!」


「つまり?」


「最初に突っ込めば、

あとは惰性でなんとかなる!!」


「それ、計画性ゼロですよね」


「それが伊達でござる!!」


馬の首を撫でる政宗。


「……大丈夫でござるな?」


馬、無言。


「……大丈夫でござるよな?」


馬、鼻を鳴らす。


「よし!!行くぞ!!」


政宗、槍を掲げる。


方向、逆。


「伊達殿、そっち味方です」


「……確認でござる」


くノ一の隊長が小声で言う。


「伊達様、突撃の合図を」


政宗、深呼吸。


「……伊達政宗、ここに在り!!」


声だけは一流。


そして


「伊達全軍!!突撃ぃぃぃ!!」


叫びながら、

誰よりも速く前へ出た。


逃げではない。

勢いだけは本物だ。


「……」


僕は呟く。


「強がりも、ここまで来ると才能だな」


長久手の平原に、

今日も伊達政宗の虚勢が轟いていた。

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