第2話 産まれました。
菊姫ちゃんのご懐妊報告から六ヶ月後
現実を直視すると、まあ、いろいろ考えることはある。
(これ、現代だったら色々アウトだよな…)
(ニュースの見出し、完全に終わってるやつだ)
だが、ここは戦国時代。
法律?
倫理?
コンプライアンス?
そんなもん、火縄銃の反動で吹き飛んだ時代である。
前田利家さんだって、
松さんと十一で結婚してる。
(戦国基準、怖い)
ということで、年齢については僕は深く考えるのをやめた。
◇◇◇
大阪の街で、僕はお土産屋に立ち寄った。
「……これだな」
鈴のついた髪どめ。
新品。
ピカピカ。
錆びゼロ。
(現代で拾ったやつは、
どう見ても文化財レベルでボロかったもんな…)
まさか、
自分をこの時代に引きずり込んだ“元凶アイテム”を、
自分の手でプレゼントする日が来るとは。
運命、戦国の周回プレイか?
菊姫ちゃんに渡す。
「笄…
まあ、綺麗でございます……」
目、うるうる。
鈴、ちりん。
破壊力、高すぎ。
(戦、やめよっかな)
さて、次の問題。
子の名である。
これはもう、
信長様に丸投げしよう。
信長様のお屋敷。
「おい中田ァ! なんだで、腹ァ膨れたって噂は本当かぁ!」
「はい、めでたく…」
「しゃーねぇなぁ!
で? 名付け親やれってか?
図々しいのぉ!」
(言い方)
「はい、是非とも…」
信長、腕を組み、即答。
「男なら竹千代!
女なら竹子じゃ!
文句あるか、たわけが!」
「あ……
ありがたき幸せ……」
(しまった、 戦国の幼名って適当でよかったんだった)
◇◇◇◇
そしてついに産まれました。
「オギャアアアア!」
でっかい声。
元気。
産婆さん、ドヤ顔。
「安産でございます!」
骨盤強ぇ……
さすが本多忠勝の妹。
血筋ってすげぇ。
菊姫ちゃんに報告。
「信長様より、 幼名を賜りました」
「まあ……
よい名ではありませんか!」
「……え?
そう? いい?」
(反応が想像以上に良い)
僕は赤ん坊を抱き上げる。
「よし! お前の名は――」
「竹千代だ!」
赤ん坊、
「オギャ!」
「元服したら名前変えような!
それまでの仮名だからな!」
赤ん坊、
たぶん理解してない。
その夜。
信長様から一言。
「中田ァ!子を守りながら戦もせぇよ!
天下は待ってくれんでなぁ!」
(鬼上司)
また、戦が始まる。
だが今だけは
この腕の重みと、
小さな命の温かさを噛みしめる。
(……絶対、生き残らなきゃな)




