第1話 懐妊しました。
城に戻った僕は、
まず絵のうまいヤツを呼び出した。
「よし、描け」
「な、何をでございますか?」
「子供たちが泣き叫んでる絵」
絵師は一瞬きょとんとした。
なぜなら
当の本人たちはというと。
城の一室で、
本を読んでいる。
菊姫ちゃんと折り紙している。
おやつ食べてる。
めちゃくちゃ落ち着いている。
(……いや、これ身代金下がるな)
僕は咳払いした。
「もっとだ!
もっと絶望感を出せ!
口を歪ませて!
そうそう、涙をこう…
血も足しちゃおうか!」
「ど、どの程度で……」
「B級ホラー映画くらいで!」
結果――
完成した絵は完全にアウトだった。
・泣き叫ぶ子供
・謎の血しぶき
・背景は雷
・なぜか月が赤い
(うん、なかなかの大作だ!)
実物との差?
考えるな、感じろ。
この絵を宇喜多家に送りつける。
「見たか……これが現実だ」
※現実:お茶飲んでる
そして要求。
「領国貨幣6400枚、用意せよ」
文面は安定の明智くん製。
文章だけ異様に知的で怖い。
数日後
身代金到着
子供返還
ミッション完了!
「よかったぁ…… 夜、子供が泣く悪夢見ずに済みそう」
間髪入れずに信長様から命令。
「四国行け」
僕は信長様より、四国攻めを命じられました。
三好家は、すでに弱体化していたため、九鬼水軍の力も借りて滅ぼしました。
三好家ファンの皆様、1行で滅ぼしてしまいゴメンなさい。
問題は土佐の長宗我部元親。
各地に兵を配置、
総勢14000。
だがこちらは――
・カタパルト
・くノ一
・装甲車
・もはや戦国感ゼロ
拠点?
はい、次々制圧。
ついに川で最終決戦。
元親、前に出てくる。
「我こそは長宗我部元親ぜよ!
一騎打ちを申し込む!」
(出たよ一騎打ち信仰)
(なんで武将って一騎打ちが好きなん)
僕、即判断。
「弓隊」
「はっ」
「放て」
矢の雨。
「卑怯者なりぃぃ!」
いや、これが戦争です。
歌舞伎じゃないんです。
「全軍、突撃!」
装甲車、ゴゴゴゴゴ。
長宗我部軍、サーッと散る。
あっけない。
狭撃戦術?出番なし。
長宗我部元親ファンの皆様、
あっさりでごめんなさい(2回目)
結果。
・長宗我部元親:降伏
・土佐一国:統治継続
・他領地:信長様管理
四国制圧、完了。
城に戻ると
「殿!
菊姫様、ご懐妊にございます!」
……え?
戦争、誘拐、脅迫、侵略のあとで?
命、来た!?
僕は天を仰いだ。
「……よし」
「この子のために、
もうちょっとマトモな人間になるか」
たぶん。
できる範囲で。
(※できるとは言ってない)
こうして僕は、
戦国最前線で父親フラグを立てたのでした。




