第7話 出陣しました。
「毛利ァ!ぶっ潰したるがや!!」
信長様の怒声が、山野に響き渡った。
尾張弁丸出し、品? そんなもん戦場に置いてきた。
「わしぁなぁ、勝つ戦しかせん主義なんだわ!
今日で中国地方、焼け野原にしたるで覚悟せぇや!!」
……はい出ました。
いつものテンションで中国地方へ出陣である。
信長様、木下藤吉郎(のちの秀吉)、前田利家、そして僕。
尼子軍、宇喜多軍も加えた信長連合軍。
(……正直、かなり有利だよな?)
毛利を包囲。
尼子で背を刺し、宇喜多で横腹を裂き、信長軍で正面突破。
完璧なはずだった。
■戦力
毛利軍:58,000
信長軍:30,000
尼子軍:9,000
宇喜多軍:10,000
合計:49,000
(……数字だけ見たら、まぁ互角未満)
だが、
こちらには
装甲車部隊
クロスボウガン部隊
くノ一部隊
盾部隊
火炎点火部隊
カタパルト部隊
そして新兵器
人力槍衾!!
(俺、作りすぎじゃね?)
「行けぇぇぇッ!!尼子ぁ!宇喜多ぁ!!」
信長様が叫ぶ。
「前に出ぇ!出ぇ言うとるやろが!
もたもたしとったら首刎ねるでな!!」
下品!でも士気は爆上がり!
尼子軍と信長軍が、
地鳴りのような足音を立てて突撃。
その瞬間
「カタパルト部隊!投射!!」
ゴォォォォ――ッ!!
空を裂いて、
巨大な岩が飛ぶ。
ドカァァァン!!
ドゴォォォン!!
毛利陣に隕石が落ちたかのような惨状。
兵が吹き飛び、盾が砕け、血と泥が空を舞う。
「効いてる……!」
毛利軍が、
確実にひるんだ。
(よし、シナリオ通り……)
――その時だった。
「……宇喜多軍が、動きません!」
部下の叫び。
「は?」
見上げると、
山の上。
宇喜多軍
微動だにしない。
旗は翻っている。
兵も揃っている。
だが、
一歩も動かない。
「おい!宇喜多ァ!!」
信長様が怒鳴る。
「なに見とんのや!花見かボケ!!
横から突っ込め言うたやろが!!」
返事はない。
嫌な汗が背中を流れる。
(……まずい)
毛利軍は、
この“間”を逃さなかった。
「太鼓、打てぇぇぇ!!」
毛利の陣から、
重く低い太鼓の音。
ドン……ドン……ドン……
分進合撃。
散っていた毛利兵が、
一斉に再集結。
数の圧が、
壁のように押し寄せる。
「うわぁぁぁぁ!!」
尼子軍が押される。
信長軍の陣形が、歪む。
人力槍衾が回る。
槍が突き出し、兵を貫く。
だが数が違う。
死体の上に、
さらに死体が積み重なる。
「チッ……!」
僕は奥歯を噛み締めた。
(宇喜多……やっぱりか)
(人質を取っても、 人は簡単には動かん……)
山の上
宇喜多直家が、腕を組んで戦場を見下ろしていた。
「どうだ、戦況は」
冷たい声。
「数で勝る毛利軍、有利にございます」
「……そうか」
直家の口元が、
わずかに歪む。
「我が宇喜多家が生き残るにはな、
どちらにつくか
最後まで見極めねばならぬ」
信長連合軍が崩れていくのを見て、
直家はほくそ笑んだ。
策士策に溺れる。
(策略を立てることが巧みな者は、策略に頼りすぎて物事の大局を見失い、かえって失敗する。)
「全て自分の思い通りに人が動くと思うなよ。」
◇◇◇
信長陣営
「玄白ぇぇぇ!!」
信長様の怒声が飛ぶ。
「まだ奥の手、あるんやろが!!
出し惜しみしとる場合ちゃうぞコラァ!!」
前田利家が血まみれで叫ぶ。
「殿!このままでは毛利に押し潰されます!!」
秀吉が歯を食いしばる。
「……殿、賭けに出ましょう」
全員の視線が、
僕に集まった。
(……知力と武力)
(ここでぶつけるしかない)
僕は、
静かに言った。
「――火炎点火部隊、前進」
「くノ一部隊、毛利本陣へ浸透」
「装甲車、全速前進」
信長様がニヤリと笑う。
「ええやんけ玄白!
派手にやったれ!
毛利、丸焼きじゃぁ!!」
戦場が、さらに地獄へ傾いた。




