朝目が覚めると
その日目が覚めたのは午前十一過ぎだった。せっかくの休みなのでもう少し早起きして有意義に過ごしたいと思っていたのだけれど、今となってはそれももう叶わぬ夢となってしまった。あーあと思った。あーあ。
部屋のなかは妙に薄暗かった。部屋のカーテンを開けてみると、案の定どんよりと曇っている。空を覆う厚い灰色の雲はまるで僕の心情をそのまま表したみたいだった。
頭が痛かった。頭が痛いというよりはどんよりと重たい感じがある。たぶん眠りすぎたせいだ。それとソファーの上で眠ってしまったせい。僕が一人暮らして居るアパートはロフトが付いていて、普段はそこで寝ているのだけれど、夏場のこの時期はかなり蒸し暑くてとてもじゃないけれど眠っていられない。だから勢いいつもソファーのうえで眠ることになるのだけれど、それだとあまり疲れが取れないのか、翌朝目を覚ますと妙に身体がだるい感じがある。
僕はとりあえずという感じでそれまで横になっていたソファーから起き出すと、洗面所に行って、小便をして、顔を洗って、歯を磨いた。鏡で自分の顔を見てみると、もしかするとただそんな気がするだけなのかもしれなかったけれど、昨日までの自分の顔と今日の自分の顔は少し違っているような気がした。なんというか、歳を取った感じする。単純に老けた気がする。
僕は昨日、三十一歳の誕生日を迎えた。高校の頃や大学生の頃は自分がほんとうに三十歳になってしまうなんてとても信じられなかったけれど、実際にはあっさりと三十歳なってしまうものだ。ほんとにあっけなさすぎるくらいだ。映画でいうと、いつの間にかはじまっていつのまにか終わってしまって、えっ!?もう終わり?とびっくりしてしまうような感じ。そして今の僕はその三十歳すら通り越してしまった。ショック!ショック!ショック!
現在僕は三十一歳、フリーター。彼女なし。なんという惨めな肩書きだろう。悲惨だ。頭を抱えたくなる。いや、抱えるべきだ。というか、自殺した方がいいのかもしれないと真剣に悩んだりすることも、たまに、ある。
僕が定職についていないのは小説家になりたいためで、大学を卒業してからずっとアルバイトをしながら小説家を目指して来た。でも、結果は惨敗。小説家のしょの字もない。いい加減小説家になることなんて諦めるべきなんだろうし、就職した方がいいんだろうけど、でも、小説家になりたいという意思は自分のなかで半ば意地みたいに凝り固まっていて、それを今更改めることなんてできそうにない。そもそも今のこの就職難の時代に僕のような人間が就職することなんてまず無理なんじゃないのか。なんといったって新卒のひとが就職できなくて困っているくらいなのだから。でも、ずっとこのままというわけにもいかないよなと思って、将来のことを考えると、まるで暗くて細長い廊下に迷い込んでしまったみたいに暗澹とした気持ちになる。
でも、まあ、いいや。そんなことをくよくよ考えていてもはじまらないので、とりあえず外に出かけてみることにした。いずれしても、今日は以前ツタヤで借りていたアダルトDVDを返しにいかなければならない用事がある。む。