表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

朝目が覚めると

 その日目が覚めたのは午前十一過ぎだった。せっかくの休みなのでもう少し早起きして有意義に過ごしたいと思っていたのだけれど、今となってはそれももう叶わぬ夢となってしまった。あーあと思った。あーあ。


 部屋のなかは妙に薄暗かった。部屋のカーテンを開けてみると、案の定どんよりと曇っている。空を覆う厚い灰色の雲はまるで僕の心情をそのまま表したみたいだった。


 頭が痛かった。頭が痛いというよりはどんよりと重たい感じがある。たぶん眠りすぎたせいだ。それとソファーの上で眠ってしまったせい。僕が一人暮らして居るアパートはロフトが付いていて、普段はそこで寝ているのだけれど、夏場のこの時期はかなり蒸し暑くてとてもじゃないけれど眠っていられない。だから勢いいつもソファーのうえで眠ることになるのだけれど、それだとあまり疲れが取れないのか、翌朝目を覚ますと妙に身体がだるい感じがある。


 僕はとりあえずという感じでそれまで横になっていたソファーから起き出すと、洗面所に行って、小便をして、顔を洗って、歯を磨いた。鏡で自分の顔を見てみると、もしかするとただそんな気がするだけなのかもしれなかったけれど、昨日までの自分の顔と今日の自分の顔は少し違っているような気がした。なんというか、歳を取った感じする。単純に老けた気がする。


 僕は昨日、三十一歳の誕生日を迎えた。高校の頃や大学生の頃は自分がほんとうに三十歳になってしまうなんてとても信じられなかったけれど、実際にはあっさりと三十歳なってしまうものだ。ほんとにあっけなさすぎるくらいだ。映画でいうと、いつの間にかはじまっていつのまにか終わってしまって、えっ!?もう終わり?とびっくりしてしまうような感じ。そして今の僕はその三十歳すら通り越してしまった。ショック!ショック!ショック!


 現在僕は三十一歳、フリーター。彼女なし。なんという惨めな肩書きだろう。悲惨だ。頭を抱えたくなる。いや、抱えるべきだ。というか、自殺した方がいいのかもしれないと真剣に悩んだりすることも、たまに、ある。


 僕が定職についていないのは小説家になりたいためで、大学を卒業してからずっとアルバイトをしながら小説家を目指して来た。でも、結果は惨敗。小説家のしょの字もない。いい加減小説家になることなんて諦めるべきなんだろうし、就職した方がいいんだろうけど、でも、小説家になりたいという意思は自分のなかで半ば意地みたいに凝り固まっていて、それを今更改めることなんてできそうにない。そもそも今のこの就職難の時代に僕のような人間が就職することなんてまず無理なんじゃないのか。なんといったって新卒のひとが就職できなくて困っているくらいなのだから。でも、ずっとこのままというわけにもいかないよなと思って、将来のことを考えると、まるで暗くて細長い廊下に迷い込んでしまったみたいに暗澹とした気持ちになる。


 でも、まあ、いいや。そんなことをくよくよ考えていてもはじまらないので、とりあえず外に出かけてみることにした。いずれしても、今日は以前ツタヤで借りていたアダルトDVDを返しにいかなければならない用事がある。む。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ