亡霊トンネルの怪
思ったより遅くなっちゃったね。
わー。もうこんな時間。日付変わっちゃったね。
はいはい。あたしのせいですよ。
分かってますって。
ねえ。近道しようよ。早く帰れる道知ってるから。
次のね、うん。信号とかないから気をつけて。次の看板を左折して、道なり。うん。そうそう。
詳しいっしょ。あたし高校この近くだったから。
何でも聞いて。
……うあ。真っ暗だ。
ハイビームにしようよ。なんか怖いし。大丈夫だって。対向車とか滅多に来ないし。て言うか、車自体全然走らないんじゃないかな。
うん。
あ。
え? どうしたって?
うん。ちょっとねー。高校の先輩から聞いた話思い出しちゃった。
ちょっと怖い話。
聞く? 聞きたい?
いやだー。もう話したくなっちゃったもん。
聞けよー。聞いてよー。
あのね。あたしが高校の時、先輩から聞いた話なんだけど。
そうそう。先輩も他の先輩から聞いた話なんだって。
けっこう昔の話みたい。
あのね、この近くにさ、『亡霊トンネル』って呼ばれてるトンネルがあるんだって。
うん。どこにあるかまで、あたしは知らないよ。うっさいなあ。そこまで何でもは知らないよ。
なんか、地元の人しか知らない小さいトンネルらしいよ。
元々防空壕だったって話。それだけで普通に怖くね? あは。ビビりすぎ。
それでね。
とある部活の生徒がさあ――知らねえよ。何部だったかなんてさ。細かいとこ気にし過ぎ!
はいはい。じゃあ、バレー部ね。バレー部に決定。
バレー部が合宿してたらしいんだけどさあ、夜中に肝試しに行こうって話になったんだって。
……知らないよ。ヒマだったんじゃない?
で、三人で行ったんだって。
そう。その『亡霊トンネル』。
うん。なんか事故が多くてそう言われるようになったみたい。でもさあ、こんなに暗かったら、普通に事故りそうじゃない?
でさ、そのトンネルに入ってさ。最初は何も無かったんだって。
……どうしたの? 急に黙っちゃって。
ビビった?
あ、今の一旦停止だったよ。
何も無くて、やっぱただのウワサかぁってなって、帰ろうとしたらしいんだけど、一人が気づいたんだって。
影がさ。
影がね。四人分あったんだって。
一人多いの。
ずっとついてくるの。その誰だか分かんない影が。
三人は慌ててトンネルを出たらしいんだけど、それでもずっとついてくるの。
しかも、最初小さかった影が、だんだん大きくなってくるんだって。近づいてきてるの。
その誰のだか分かんない影がさ、バーって手を広げて三人の首を一人ずつ締めていったんだって。
その後、三人は意識不明になったらしいよ。
それから、面白半分でそのトンネル通ると、呪われて死んじゃうんだって。
……ねえ。さっきからどうしたの? 黙ってさ。
あ。トンネル。
…………。
…………。
あは。ねえ、今のトンネルが『亡霊トンネル』だったりして。
……なんか言えよ。
ねえ、ちょっと。ねえってば。
ちゃんと聞いてる?
……え、ウソ。今、信号赤だったよ。
……スピード出し過ぎじゃない?
ねえ。ねえ!
ちょ! おい! 止めて止めて! ブレーキ! 前前前!
とめとめとめとめっ――止め――っ――…………
――了
元は03年ごろ書いた作品です。
原本の内容があまりにも稚拙だったため、
「もうやり直したほうが良いかも」
と、今回大幅に書き直し。まるで違う作品になってしまいました。




