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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

飛び出すんじゃねぇ! どうぶつの森

作者: 笹門 優



 北の大地、北海道。


 その田舎ともなれば現われる動物は様々だ。

 里山は失われ、長い年月を掛けて人の造ってきた境界は薄れ、昨今のニュースでもよくある様に、今や人の生きる場所とそれ以外の生物の住む世界は曖昧になりつつある。


 都市部を走る鹿。


 街中へ現われる熊。


 それはやがて自然へと回帰する人間の過渡期なのかも知れない。



 だがそんな遙か未来の予想図はどうでもいいのである。

 今の問題はそんな『境界』のひとつである森や草原から、道路へ突っ込んで来る多様な生物なのだ。



 そんな彼等を実際にこの目にしたワタシが語ろう。




 少なくとも、ワタシの住む地域で最も出現率の多い野生動物はエゾシカである。


 夏でも秋でも、山には彼等の食す草木は多く茂っているはずなのに、何故か街中にポップアップ。

 その出現率は野良犬や野良猫すら超える。


 また単独でいる事は殆どなく、大抵は五頭前後、多くても十頭弱のグループでいるが、街から出ると数十から百以上の大群になる事もしばしば。


 ワタシの見た最大の群れは5㎞以上もある道路脇の林の中で延々と連なる群れ群れ群れ。 その時何故かマイカー(時速60㎞)と併走していた鹿は何だったのか、今でも謎である。


 夜間出現する彼等は危険だ。

 ライトに反応しているのか、走る車のすぐ前に飛び出す傾向があり、その事故率は非常に高い。

 しかもただの乗用車だと『負ける』のだ。 向こうはぶつかってもそのまま走り去っていくが、こちらの車体は大きく凹み、場合によっては半壊である。

 ワタシのファミリアは半壊、ロゴは修理に20万ちょっと掛かったから間違いない。


 ただトラックには勝てないようで、たまに国道沿いにはそんな彼等が屍を晒している。


 そんな彼等だが食べると意外と美味しい。

 完全に野生のお肉だと多少青臭いが、養鹿場でしばらく飼われてから出荷されるお肉はそんな臭みも薄れるし、その身は脂肪は少なく赤身が多い。


 地元のお店では『やきとり弁当』と言う名の豚肉弁当が売っているが、鹿肉Verもある。 立ち寄った際は是非食べて貰いたい。

 ワタシは刺身も食べた事があるのだが……あれって大丈夫なモンなんだろうか?




 キタキツネも実は結構街中でも出現する。


 また彼等も何故か車に突っ込んでくるのだ。

 だが停まった車に対し、何処か期待するような目を向けてくるのは誰かが餌付けをしているんじゃないか、と思わなくもない。


 そんな彼等は車にもトラックにも負けてしまう場合が多いのだろう。 転がる屍の数は多い。

 彼等も、前述したエゾシカもその身を晒してしまえば誰かのエサになるしかない。 まあそれは大抵の場合カラスだが、たまにトンビやワシが食べているのを目撃する事がある。


 この辺りにいるワシはオジロワシで結構デカい。 翼を広げると2m前後ある為、凄まじい迫力がある。

 以前何故かカモメとバトルしているのを見たが、逃げ回っていたカモメは一撃で地面に叩き落とされていた。 つおい!




 道に出てくる動物であれば牛もいる。


 こちらは当然野生ではないが、牛舎から放牧地へ移動するのに道路を渡る場合があるのだ。

 のろのろと。

 しかも数十頭から百数頭の行列である。

 かち合ったら迂回するのが正解だろう。 近くに飼い主さんがいたら道を空けてくれる時もあるが。


 ちなみに馬を飼っている所もあるが、少なくともワタシは馬とかち合った事はない。




 野ネズミも飛び出してくるが、レアなケースだとリスが出てくる時もある。 長い尻尾をなびかせて、エゾリスさんが駆け抜けるのだ。


 その動きは速い、のだが車はもっと速かったのだろう。 潰れた彼等の姿を見る事が、実はある。 何というか昔教科書で読んだ『猫の話』という小説を思い出す光景だ。

 今の保健所はそんなになるまで動物の死体を放ってはおかないだろうけど。




 更にレアなのは飛び出し、ではないのだが舞い降りてきた鶴であろう。


 タンチョウである。


 何故か道路に舞い降りてきてビックリ仰天であった。 すぐ側にある草原に降りたかったのだろうか?

 マジ止めて欲しいわ。 特別天然記念物を轢き殺すとかなったらどうなってしまうの、ワタシ。


 車を利用したチキンレースだったりするのだろうか? 鶴なのに!


 意外とデカいし、ぶつかっても骨折くらいで済みそうな気もするけど。




 そんな歴々の中で最もヤバかったのは熊であろう。


 日本最強の野生動物ヒグマである。


 夜の帳も降りた道路で見えた影。

 鹿かと思いクラクションを鳴らしその脇を通過すると、見えたのはあらビックリ、森のクマさんじゃありませんか。

 小熊らしく、体長は1.5m程度しかなかったけど、クラクションで興奮したらヤバかったね。 足も速いし、アクセル踏み込んで逃げるっきゃない。


 ただ、転勤族なワタシ。

 クマの巣窟、は言い過ぎか。 知床羅臼に住んでいた事もあり、ヒグマの話は結構あったりするんですわよ、奥様。


 例えば仕事中に聞こえた銃声。

 何かと思えば職場の裏にある山からヒグマが下りてきたらしく、ゴム弾で追い払おうとしたらしい。 三発直撃したけど気にする様子もなく、湧き水で喉を潤し勝手に帰って行ったらしいが。

 撃つ前に教えてくれ! 頼むから!


 とは言っても、当時住んでいたアパートのすぐ側にあるコンビニのゴミが荒らされていたとか、家に侵入され、冷蔵庫を荒らされた、なんて話もしょっちゅうあり、銃声が聞こえるのもそう珍しい事でもない。


 ちなみに、今住んでいる地域でもヒグマの目撃情報はそこそこある。

 線路を歩いていたとか、郵便局の裏に出現したとか、電車に轢かれたとか。


 クマを轢いた電車には、たまたま帰省していたマイシスター一家が乗っていたり。


 ちなみに熊の缶詰は美味しい。

 大和煮なので臭みもなく美味しく食べられる。

 同様にエゾシカの缶詰も売っているのが流石は羅臼である。

 そんなこの土地では、昔トド肉のステーキが食べられたのだけど、今でもやってるのかなあ?



 あれ? 動物飛び出しのエッセイだったはずなのに、グルメレポートっぽい締めになってしまったな?

 まあいいか。


思うといろんなお肉を食べてきたもんだ。

昔、知り合いから貰った鹿肉の塊は生々しくも毟りきれなかったのだろう「毛」が残っていたが。

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― 新着の感想 ―
昨今の熊ニュースにより気になってこちらを拝読いたしましたが…、レベルが違いすぎました!さすが北海道です。 笑っちゃいけないかもしれないけど笑ってしまい、でも、興味深い内容もまた多くて楽しかったです。 …
一度、お見かけして読ませて頂きました。 この作品の方でしたか。 タイトルが、秀逸過ぎます。 ( ・∇・)センス を感じる。 本編も面白かったです。 (。・_・。)ノ お。 楽しい作品でした。
シロクマもいつか見てみませんか?正式名はホッキョクグマですので、もちょっと北に転勤してみて下さいʕ•ᴥ•ʔ
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