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浅瀬優

「最近、随分と楽しそうだね。何見てるの?」


「浅瀬君! いきなりびっくりするでしょ!」

 

「ごめん」


大学内で話しかけてきたのは、よく実験で一緒になる男の子である浅瀬あさせ ゆうだ。浅瀬君はいつもニコニコしていて、人懐っこい。周りからの人気者だ。小柄で、外見は目がくりくりしていてまるで子犬のような親しみがある顔をしている。彼は何故だかわからないが、凛に定期的に話しかけてくる。


「さっきのって、マッチングアプリ?」


「え、分かるの?」


「動画サイトで何度か見たことあるから。それより、そんなものやらなくたって、大学内で出会いを探せばいいじゃないか」


「そんな事言われたって、大学内に出会いなんてないんだもん。それにもう会う約束をしちゃってるし」


「辞めろよ。そんなの出会う相手なんて、危険じゃないか」


「ちゃんとそのへんは分かってるから大丈夫だよ。浅瀬君には関係ないでしょ」


「関係なくないよ……」 


「え、何か言った?」


「な、何でもないよ。とにかく、そんな奴と会うなんて俺は絶対に反対だから」


浅瀬君はそう言うと、凛の下から去って行ってしまった。


「聞いたよ。今の会話」


「彩! いつから私の背後にいたの?」


気がつくと、友達の一人である田村たむら あやが背後から声をかけてくる。

彩は中肉中背で丸顔。眼鏡を掛けているせいか、目が開いているのか分からないほどに細い。


「さっきからずっといたよ。それより、凛やるじゃん」


彩はニヤニヤしながら笑いを堪えるのに必死になっている。


「何が?」


凛には何のことだか、分からず、キョトンと首を傾げた。


「もう、凛って鈍いんだから。だから大学生にもなって彼氏の一人も出来ないのよ」  


「放っておいてよ」


彩は大学に入ってすぐにとても太っていて、お世辞にもかっこいいとは言い難い彼氏が出来たのだ。今はその彼氏と熱烈交際中である。


「それよりマッチングアプリっていいわね。私も始めてみようかな」


「ちょっと、彩には彼氏がいるでしょ」  


「もう凛って真面目なんだから。彼氏なんて何人もいていいのよ。何てアプリなの?」


「えっと、コスモアプリっていうんだけど」


そういえば、由香里にもこうやってアプリの紹介をしたなと思いつつ、凛はアプリの名前を紹介する。

「コスモね。あった! えっと……。あれ? 登録出来ないよ。このアプリ」


「そんなわけないよ。きっとアプリの不具合か何かだよ」


「そうかな。まぁ、また帰ったら試してみるわ。じゃあね、凛」


彩はあっけらかんとして、その場から走って家へと向かっていった。

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