由香里
次の日、由香里がわめきながら絡んできた。
「ねぇ、聞いて! 昨日コスモでマッチングした人がすごく変な人だったの! 亀を食べたことあるかって突然、聞かれて! 私、亀すごく好きで、スッポンの生き血も飲んだことありますって言ったら、なんて人なんだ! そんな人とは話すことがではきないって言われて、そのまま音信不通になったの! そのあと、マッチングした人にもダチョウの肉を食べたことあるかって聞かれて、無いって答えたら、それは良かったって言われて今、いい感じなんだ。何でこのアプリって食べたことあるかを聞いてくるんだろう?」
由香里は一旦、話すと止まらなくなるのだ。
ひとしきり自分の話したいことを伝えた後、ハアハアと息を切らしていた。
「そう言えば、私もヘビの肉を食べたことあるかって聞かれたなぁ。男性ってそういう質問が好きなのかな」
「うーん、私も誰とも付き合ったことないからよく分からないや。でも、今話してる人とはね結構話があって、今週の土曜日に会おうって話になってるの」
「え、もう! 早くない!?」
「そんなもんじゃないの? ああ、今からドキドキする。結構可愛い人だったんだ。ほら見て、この人」
「あ! 本当だ。かなり可愛い!」
目がくりっとしていて、可愛らしい顔立ちをしている。何故、マッチングアプリをやっているのか疑問に思うぐらいだ。まぁ、それはアポロさんにも言えることだが……。
由香里も目がパッチリとしていて、可愛い系なので付き合ったらお似合いの二人になるだろう。凛がそう考えていると、由香里がグイグイと迫ってくる。
「凛がやり取りしている人も見せてよ」
「いいよ。私がやり取りしてる人はこんな感じかな」
「え! かっこいい! 白銀色の髪も変わってる! そっか、凛ってこういう人が好みだったのか」
「まぁね」
「凛はどうなの? 会うって話にはならないの?」
「うーん、やり取りはしてるんだけど、会うって話にはなってないかな」
「勇気を出して、誘ってみたら! 今は草食系の男子が多いって言うし、もっとガツガツいかないと!」
「うーん、考えてみるね」
凛はマッチングアプリのアポロさんの写真を見ると、考え始めた。