次の日
今日は土日が終わり、学校である。今日はオンライン授業ではなく、対面の授業の日だ。
講義は退屈で、平凡だ。
マッチングアプリを確認してみると、アポロさんから新たに連絡が来ていた。
(こんにちは〜。凛さん、今何してます? 僕は今、友達と沼地に来て泳いでます)
(友達と泳ぐなんていいですね! でも沼地なんて変わってますね)
凛が夢中でマッチングアプリを打っていると、横から同じ講義を受けていた親友の遠山 由香里が脇腹をつついてきた。
「ねぇ、それ何?」
「わ! びっくりするな。いきなり話しかけないでよ」
「だってそんなに真剣に打ってるんだもん。もしかして彼氏できたの?」
由香里はニヤニヤしながら聞いてくる。
「違うって。そんなんじゃないよ。これは」
「うるさいぞ! そこ、静かにしなさい。講義中だぞ!」
声が大きくなっていたのか、教授が指示棒をこちらに向けて注意してくる。周りからクスクスと笑い声が聞こえる。
(うぅ……。恥ずかしい)
凛は縮こまり、由香里と共に謝ると講義は再開された。凛はマッチングアプリを閉じ、講義に集中しだした。
講義が終わり、由香里が先程のことを聞いてくる。
「ねぇねぇ、教えてよ」
「分かったってば。実は私マッチングアプリやってるの」
「えぇ、嘘! そこまで追い詰められてたの?」
「ちょっとそんな言い方は辞めてよ。私は真剣なの!」
由香里は数少ない彼氏がいない友達だ。由香里ならこの気持ちを理解してくれるはずだ。
「それでいい人はいたの?」
「今やり取りをしている人は一人だけだよ。アポロさんっていうの」
「変わった名前ね」
「ニックネームだし、偽名だと思うよ。それにもしかしたら外国人ぽい顔だったから日本人じゃないのかも」
「へぇ、私もやってみようかな。なんてアプリ?」
「えっとね、コスモっていうの」
「コスモね。あ、あった、これか。へぇ、帰ったら私も登録してみるね」
由香里と別れを交わすと、凛は家へと向かった。