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無題

作者: 氷室吾郎

急に課長から残業を頼まれた


よりにもよってこんな大事な日に


急いで仕事を片付けスーツのままで会社を飛び出した


目的地の近くのお店に寄って


息を切らして店員さんに告げる


「頼んでいた物を取りに来ました」


店員さんが用意をしてくれている時間すらもどかしい


「お待たせしました」


抱えきれぬ程のバラの花束を持ち花びらが落ちないよう走る


駅の改札口に着いて真っ先に列車の到着予定を知らせる電光掲示板に目をやる


「良かった間にあった」


思わず一人言が口を出てしまった


到着を知らせるアナウンスと共に僕の心臓が早鐘のように鳴り響く


キャリーケースを転がしながらエスカレーターから降りてくる君を見つけて僕は思わず駅の柱の裏に隠れる


改札を出た君はキョロキョロと左右を見渡し僕の姿を探しているようだ


しばらくして彼女がどこか悲しげな顔をしてバスターミナルに向かい歩き出した


僕は彼女の後ろに回り込み声を掛けた


「すみません落とし物ですよ」


そう言ってバラの花束を彼女へと差し出す


満面の笑顔と共に嬉し涙を流す彼女が愛しくて思わず抱きしめた


数カ月毎にしか会う事が叶わない遠距離恋愛の2人だけの短い時間が今始まる…

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