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王様への報告

 ⭐︎⭐︎⭐︎


 ージノ海洋国ー 王都の宮殿 謁見の間


 宮殿に着いた私は、早く報告がしたくて急ぎ父上に会うことを申し出た。


「父上、只今戻りました」


「あぁ、お帰り。随分時間がかかったようだね。何があった?」


 後ろに控えていた家令のセバスチャンが一歩前に出て話す。


「ご報告させていただきます」


 ニグ王国の視察団を無事に見送った事。


 第3王子が毒を盛られ、行方知れずになった事。ここで周りがざわめくが、話し続けるセバスチャン。


 第3王子の発見と体力回復のため、帰還に時間がかかった事。


 以上でございます。と、礼をとり、下がるセバスチャン。


「随分大変な思いをしたようだね。それでも無事に帰ってきてくれた」


「っは!父上、どうか内密に報告したいことがございます」


「うむ、よかろう。では、私の執務室に移動しようか。他の者は下がってよろしい」


 王様が片手を上げると退室していく家臣達。


 ⭐︎


「さぁ、座って。どうしたんだい? 内密になんて」


 父上に促され、ソファーに座る。


「父上!お願いがございます!」


「ふふ、大きな声だね。大丈夫、2人だけなんだから言ってごらん?」


 2人だけと言うが護衛はいる。まぁ、当然だが……。


「はい、こ、こんやくをしたいのです」


「ん? もう一回」


 父上、楽しんでないか?


「父上、婚約です! どうかお願いします」


「あははは、ごめん、ごめん。そうか、見つけたんだね」


「は、はい」


「今回の視察団を送ってきたってことは……。む、そうか!ローズ・ベルタンであろう!」


 な、なんて察しがいいんだ。


「は、はい。その通りです」


「ん〜そっかそっか。あと2年ほどで学園に入るであろう?確か其方と同い年であったな。」


「はい、ぜひその前に婚約を申し込みたいのです」


「ん〜あのこは第2王子の婚約者候補にしようかと思っておったのだが……」


「!!だ、だめです!!(あんな下半身王子)女性遍歴が多すぎます!」


「ふふ。意地悪だったね。大丈夫。すぐにでも婚約申し込みを行おう」


 いたずらが成功したみたいな顔の父。ふ〜ドッキリさせないで欲しい。

「はい!ありがとうございます」


 すると、間延びした声がした。


「なに〜?第2とか女性遍歴とか聞こえたんだけどぉ〜」


 振り返ると、金髪で長髪を肩で一結びにした、ほっそりした体型の第2王子が戸口に寄りかかりながらこちらに向かって話していた。


「シュバルツ、急に話に割り込むなど、失礼ではないか?」


 王様は一瞥すると、やや冷ややかに言った。


「え〜〜、陰口も失礼なんじゃ無いの〜?」


「兄上、陰口など言ってはおりません」


「もう話し合いも終わった所だ。シュバルツは出かけるのか?」


「そうだね〜、来年デビュタントだから、その相手でも探してこようかな〜なんて」


「王子なのだから、節操のある付き合いをするのだぞ」


 すると、そこへココが現れた。


 父も兄も気づかないと言うことは魂化している。


「父上、すみません、もう少々お時間をいただけますか?」


「ん? いいだろう。なんだい?」


「ええと、兄上、申し訳ありません。父上と2人だけにしていただけますか?」


「ふ〜ん。いいよ〜。その代わり、陰口はやめてね〜。じゃぁね〜」


 立ち去る兄上を見送る。


「父上、先ほどの話に続きがあります」


「うん。婚約者の件?」


「いえ、視察団の王女の件です」


「あぁ、なんとかしないとね、彼女の場合、来るなと言っても来そうだよね」


「はい、そこで、ローズ嬢に出会った時に、神の使者のココ殿にも会ったのですが」


「ん? 今、さらっと凄いこと言ったね。神の使者と言った?」


「はい、今から呼ぶので護衛の騎士の方々は驚かれませんよう、お願いいたします」


「「……」」 護衛の騎士2人は、半信半疑な様子だ。


「ココ殿、実体化して欲しい」


 すると、父上と私の間にあるテーブルの上に光の粒子が集まり、コバルトブルーの小鳥が現れる。


『終わったぞ。あの小娘、幽閉されたわ』


 父上も騎士も目を丸くしている。


「お疲れ様です。ココ殿。此度の件、父上に話す前に、紹介したいのですが」


『うむ。其方が第3王子の父君じゃな。妾は神の使者であり、ローズの守護者じゃ』


「これはご丁寧に。お初にお目にかかります。ジノ海洋国 国王をしております。ルーク・ジノ・ハノーヴァーと申します」


 さすが父上は動じない。すんなりと受け入れた様子だ。


『それでじゃ、彼の国に行ってきて話をつけてきたのじゃよ。あの娘、最初は父親の話も聞かず、またこの国にこようとしてたからのぉ。だから言ってやったのじゃ。』


「……なんと申されたのです?」王様は身を乗り出して聞いた。


『ジノ海洋国へ足を踏み入れたらニグ国を消すと言ったのじゃ』


「「「「!!」」」」その場にいた私、国王、騎士2人は言葉を失った。


『おどしに決まっておろう? まぁ、本気で消せるのは城ぐらいかの』


「城だけでも凄いのですが……、もし私が言われたら、眠れなくなりそうですな」


 と、若干青ざめて言う国王。


『そうじゃな。ニグ国の国王もすぐに小娘を幽閉しておったよ』


 それはそうだろう。神の使者に消すと言われれば確実に安全になる方法を選ぶ。


『さて、妾はそろそろローズの元へ帰るが、婚姻の話はどうなった?』


「はい、先ほど婚約の許可をいただいた所です。誓約書を作り、すぐにでも伺います」


『人間は面倒じゃのぉ。さっさと結婚してしまえば良いのに。婚約からか』


「はい。婚約からです」


 苦笑いになるが仕方ないだろう。だが、婚約だけでも嬉しい。ローズは喜んでくれるだろうか……。


『わかった。できるだけ早く来い。あまり長いとうっかり口が滑りそうじゃ』


「はい。2〜3日中にはベルタン領に伺います」


『ではな』シュンと消えるココ殿。


「父上、誓約書を作って参ります」


「そうだね、急いだほうがよさそうだ」


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