表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/20

マジックボックス

 ⭐︎


 学園都市は下三角形の形に作られた新しい都市なので、道が整備されていて歩きやすい。侍従や侍女を連れてくる家もあるけれど、私たちは2人でいろいろやりたかったので連れてきていない。


「何を買おう。お鍋や食器は持ってきているから、食材だけでいいわ」


「そうだね、肉は食べたいな」


「うふふ、野菜もよ?お肉ばかりだと身体に悪いわ」


「え〜肉だけでいいのにー」


 うふふふ。じゃぁ、サミーのお肉は大きめにしてあげましょう。


 塩、胡椒、砂糖、を買い、お肉、野菜を買っていく。

 お米があるわ!……家畜用なんてって怒るかしら。


「ね、ねぇ。サミー……あの、お米買っていい?」


「米?何するの?」


「ええと……ナイショ! 夕飯までのお楽しみ!」


 あ、トマトがある。ん?あれは昆布だわ。煮干しもある!さすが海洋国ね!

 流石に鰹節はないわね……残念。あと、鶏ガラかな。


 たくさん買い込み、寮へ戻ると、サミーに出来たら声をかけるわと言い、私はすぐに支度にかかる。

「考えてみたら冷蔵庫って欲しいわね……何か方法を考えましょう。とりあえず、野菜や鶏ガラを煮込んで出汁を作っていきましょう」


 おっと、ケチャップも煮込まないと。玉ねぎをみじん切りにし、ニンニクも刻む。砂糖、塩を入れてトマトを入れて煮込んでいく。


 煮込んでいるうちにお米をとぎ、鍋でご飯を炊く。ブクブクいったら弱火にして……。


「魔道具のコンロがあるんだもの、絶対冷蔵庫もできるはずよ」と、また冷蔵庫が欲しくて独り言を言う。


 ご飯が炊き上がると、フライパンに入れ、炒めておいた刻んだピーマンと玉ねぎとひき肉と合わせ、塩胡椒して炒める。煮込んだトマトケチャップを投入し炒める。余ったケチャップは瓶に入れておく。卵は1人3個を溶いてフライパンへ、じゅ〜っと焼きながら真ん中をフォークでくるくる。半熟になったら予熱で裏を固める。ケチャップライスにふわふわの卵焼きを乗せる。さっきとっておいたケチャップを乗せればオムライスの完成。


 出汁で野菜スープを作り、ニンニク醤油のステーキを焼いていく。


 出汁を取るのに時間がかかっちゃったけど、とりあえずできたわ。


「お待たせ〜本当は白いご飯が合うのだけど、どうしてもオムライスが食べたくて、作っちゃった」


「何?これ、すごくいい匂い。オムライス? え? 中はお米?」


「うふふ、食べてみて。いただきます!」


「いただきます? 今まで言ってた?」


「ふふふ、転生者って告白したら、気が緩んだみたい。生前言ってた、ご飯食べる時の感謝の言葉なのよ」


「へ〜では、私も。いただきます!」


「召し上がれ」


「う、うまい……。え? すごい。すごく美味しいよ!」


「よかった〜。うん、おいしぃ〜。お米をいつ食べるか、考えていたの」


「どうして? モグモグ」


「だって、家畜用って言うんだもの……生前は主食だったのよ?お米」


「こんなに美味しいんだ。主食って納得だよ〜おかわりしていい?」


 と言いながら、野菜スープの入れ物を渡してくる。


「うふふ。はい。いっぱいあるわよ。オムライスだけは卵焼くのに少し時間かかるけど、言って?」


 その後、オムライスとお肉もおかわりしたサミーはお腹が苦しそう。


「ん〜困った。こんなに美味しいなんて。太らないように考えないと」


「うふふ、そうね。私も一回の食事の量を計算して出すようにするわ」


「え〜〜〜おかわりしたいけどな〜〜でも、太りたくないし〜〜剣術を頑張るか」


 その時、小鳥が窓から入ってくる。


「まぁ、ココちゃんだわ」「あ、ほんとだ」


 ココは、ぽんっと、人間の姿になると


「久しぶりじゃの〜。実はな、伝える事があってのぉ。食材などを収納しておける異次元空間魔法なんじゃが」


「まぁ!!それよ、それ。ココちゃん!教えて〜!」


「よし、では、イメージするのじゃ。手をかざし、空間に30cmほどの穴を開けるつもりでマジックボックスと唱える」


「マジックボックス」


 ドゴン!!


「ば、バカもん! 3mではないわ! 30cmじゃ!」


「うわ!!コワッ!」 「ヒ〜〜ごめんなさい。間違えたわ!」


 ドキドキドキドキドキドキドキ


「ご、ごめんね。ふ〜、もう一回」


 3mの大きな空間を消すと、深呼吸をする。


「マジックボックス」


 ブウンと音をたて、空間が割れる。


「よし、上出来じゃ。さすが魔力が多いだけあるのぉ。すぐ習得するとは」


 早速、瓶詰めケチャップや余ったチキンライスを収納する。


「ココ殿、それは私でも出来ますか?」


「む〜〜、そうじゃなぁ、……婿殿も使えそうじゃな。今は10cmの空間魔法ならいけるかも。唱えてみよ」


「10cmでもありがたい! やってみます。集中して……マジックボックス」


 ぽこん!


「キャ、可愛い音。開いたわ!」


「あぁ、やった。中はどのくらい入るのですか?」


「それ、そこの段ボール3個ぐらいかの」


「結構入りますね。うれしぃなー」


 さっきの3mの穴はどのくらい入るのか……怪我人が出るわ、気をつけましょう。


「ただな、あまり人前で使わぬようにな。適正があるので使えぬもののほうが多いのじゃよ」


「では、カバンかポーチで誤魔化しますか? 確か、空間魔法が付与されたものが売ってたような気がします。ロージーはそれでいい?」


「ええ、もちろんよ。ねぇ、ココちゃん、もし人が落ちたらどうなるの?」


「……恐ろしいことを聞くのぉ……」


「「……」」


「お、そうじゃ。マジックボックスの中は時間停止するから、食材は新鮮なままじゃ。ではな、あまり長居するとあやつが泣くのでな」


 そういうとまた青い小鳥になり、ココは窓から出て行った。あの様子なら、仲良くやっていそうね。


「でも、嬉しいわ。いっぱい食べ物を作って保存しておくね」


「うん、そうだね。いつでも君の手料理を食べられるなんて最高に幸せだよ」


 それから2人で片付けをし、サミーは名残惜しそうに自分の部屋に戻って行った。


 明日は入学式なので、今日は早めに休もうということになったのです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ