転生者とは
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「それで? 何かあったの?」
私はサミーに向き直り、真剣な顔で話し始める。
1歳の時に急に前世を思い出した事、人工呼吸も前世の知識な事、何より、本やゲームのシナリオが時々転生先で起こる事、その中でヒロインというものが現れ、婚約者たちを自分のものにしていく、など。一気に話した。
サミーの目を見ることができず、ぎゅっと手を結び、下を向いていると。
ふわっと抱かれる。
「バカだな〜気持ち悪いわけないよ。いい?たとえロージーが悪魔だったとしても私の気持ちは変わらないよ? ロージーがロージーでいてくれる。それが全てだよ」
じわっと目頭が熱くなる。
「う、うん。それでね、もしかすると、過去にヒロインがこの学園に存在して、婚約破棄をたくさんさせたのかもって思ったの」
「あぁ、それでこの寮と罰則があるのか。なるほど、そうかもしれないね」
「でね、怖いの……私たちの学年でもヒロインが発生するんじゃないかって」
「そのヒロインってどんな様子なのかわかる?」
「ううん、ただ、大体の小説やゲームだと男爵令嬢で、髪の毛がピンクで、可愛らしい顔立ちのはず」
「ん〜、あとは?」
「あ、あと、魅了とクッキーかな」
「あ、そういえば、兄上から預かっていたんだった。これ」
「何?これは?」
「魅了のような精神に作用する魔法や薬を弾く結界が張られるピアス」
「もしかして第1王子様?」
「うん。きっと学園でいたんだよヒロイン。僕たちも万が一って事があるから、ピアスをつけておこう。ええと、ロージーは金色をつけて。私は、アイスブルーね。」
あ、私たちの色だわ。気がついた私はいそいそと耳につける。うれしぃ……。
「似合っている。……早く結婚したいね」というと軽いキスをされる。
「はい……まだ入学してないのに卒業が待ち遠しいです」
「ふふふ、私もだよ。ロージー」
しばらく手を繋ぎ、肩を寄せ合っていると、だんだん気持ちが落ち着いてきた。
「じゃぁ、私、そろそろ部屋に戻ってお片付けの続きをしてきますね」
「あぁ、わかったよ。終わったら食事はどうする?」
「せっかく転生者って告白したんですもの。手料理をしたいわ」
「!!ほ、本当? 学食に行こうって誘おうと思っていたのに、嬉しい誤算だなー」
「うふふ、お口に合うかわからないですが作りたいです。あ、でも、その前に2人でお買い物したいわ。食材を見たいです」
「あぁ、もちろんだよ。学園都市は貴族の子息令嬢が集まる場所だから警備も厳しくされている。2人で買い物が楽しめるよ」
「まぁ! すごく楽しみです! 片付けてきちゃいますね!」




