ロージーとサミーの学園生活
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ー ローズ視点になります ー
あれから月日が流れ、私とサミーは12歳になった。これから2人で学園に通うのだけど、もう一つ、大きく変わった事がある。
「ココちゃん、人間になっても可愛いわ〜。時々、撫でさせてね?」
ココちゃんが人間になってしまった。
「……まさか、人の食事を食べたり、眠くなるのが人間になる兆候だったとはのぉ」
今のココちゃんは、金髪ロングストレートに目も金色でスタイルもいい。見た目は18歳ぐらい。シュバルツ殿下とすでに暮らしている。すごいのが人間になっても魔力は変わらず、時々小鳥になって遊びにくる。ただ、すぐシュバルツ殿下が迎えにきて泣くものだから速攻で帰っちゃうんだけどね。
そう、ココちゃんはシュバルツ殿下の記憶に入った時から恋をし始めていたらしい。
そして、恋をし始めると同時に、人間になる兆候が出始めたんだとか。
初めは恋をしている自分に気づかなかったらしいけど、シュバルツ殿下がココちゃんに猛烈に突進してくるものだから、流石に避けきれず(笑)恋に落ちちゃったとか。
もう、シュバルツ殿下は人が変わったようにココちゃん一筋になり、今まで遊んでた女性たちに謝って回ったらしい。かなり大変だったみたい……。
そうそう、刺された時、実は私たちの邪魔をしようとあの場所で待ち構えていたんだそう。
「悪い事考えたから罰があたっちゃったんだよね〜でも、そのおかげでココに出会えたんだよ」
と、言って抱きしめてくるとココが少し照れながら話すのが印象的だったわ。
2人が幸せになってくれる事を祈っているわ。
さて、私たちはこれから学園寮に向かいます。
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王都の少し南に 学園都市がある。4つの学園のうち3つが三角形に並び、真ん中に1つ。知識・魔法・武力と、3つとも学べる全知識の学校。3つの学問が集中する意味のYの校章が目印。正式名称はフォンテーヌ学園だけど、愛称でY校と呼ばれている。
最初はどの学園に行こうか迷っていたけれど、サミーが公爵となるためにはY校がいいと言うので一緒に通うことにした。
一応入試があるけれど、学力テストとクラス分けの意味合いが強いらしい。流石に学力が低すぎると落とされる事もあるそうだけど。
男子寮、女子寮、婚約者寮があり、婚約者寮は部屋は別だが、隣同士になれる。以前、婚約者同士だった者が続々婚約破棄になった過去があり、憂慮した学園が婚約者寮を作り、婚約者同士が仲睦まじくいられるようにと配慮されたらしい。もちろん風紀も厳しくなったらしく、婚約者がいるものに対し気安く声をかけたり、身体に触れると罰則がある。
寮に入り、そんな説明を受けていて思った事。
「過去に、ヒロインがやらかしたんじゃないかしら?」 だった。
うん、ありえるわ。私たちの学年はどうなんだろう……急に不安になった。
スクッと立ち上がり、決心をする。
「やっぱり話すべきよね、隠し事は良くないわ」
そう、私が前世の記憶を持っていることをまだ話していない。
今まで、嫌われるんじゃないかとか、気持ち悪がられたら悲しいとか思ってたけど、
本当にヒロインが現れて、サミーの心を取られたら……。
隣の部屋をノックする。コンコン。
「うん? もう片付けたの? 早いね〜」
と、すぐにドアを開けてくれる。
「あのね、話さなきゃいけないことがあるの」
「わかったよ、上がって? 今、お茶のセットを出すね〜えっと、ここかな」
ガサゴソと引越し用の段ボールからお茶セットを取り出し、お湯を沸かし始めるサミー。
「あ、ごめんなさい。私が入れるわ」
2人で並んでお茶の支度をする。……なんだか、こういうのもいいかも。




