シュバルツとココ
ちょっと短め
⭐︎
翌朝、クリスに身支度してもらい、馬車に乗って帰ろうと外に向かうと。
第2王子が待っていた。
「君がローズ? ありがとう、ヒールをかけてくれて」
「いいえ、それよりもう具合はいいのですか?」
「うん。ありがとう。それより、聞きたい事があって……」
「はい、なんでしょう」
「君の、その肩の鳥なんだけど、弟が僕の記憶に入ったのは君の鳥だと言うんだよ」
言葉に詰まった……。今、魂化しているのに、なぜ見えるの?
「えと、あの。見えるのですか?鳥」
「うん? そりゃ〜、肩に止まっているのだから、見えるよ?」
『はぁ、もう。そうじゃよ。妾じゃ。』
実体化して返事をしだすココちゃん。
「やっぱり! 小鳥の姿でもわかる! その喋り方! 会いたかったよ〜。もう会えないかと思った」
「ええと、小鳥の姿って?いつも小鳥だけど……」
『……その、なんだ。人の女の姿をして会ったのじゃ……』
なんだか嫌な気分だわ。だって、私は10年も一緒にいるのに、ココの人間になった姿を見せてもらった事なんて無い。
「……もう、ココちゃん。ちゃんと王子様とお話ししてから帰ってきなさい」
『え〜〜、なぜじゃ? 話すことなど』
「あるよ! いっぱいある! ローズちゃん、ココちゃん置いてって。たくさん話したら返すから」
「わかったわ。ココちゃん、きちんと話すのよ?」
と、言って肩からココをむんずと掴み、引き剥がす。第2王子にグーの手のままココを渡す。な〜んか腹たって、つい乱暴にしちゃったわ。
「うん?どうしたの? ココ殿は城に残るの?」
後から来た第3王子のサミュエル様が第2王子の手の中にいるココを見て言った。
「ええ、ココちゃんはまだ第2王子様とのお話が残っているそうなの」
「そっか〜、じゃぁ、ココ殿は私と逆だね、私はこれからベルタン侯爵家で勉強だから。後継の育成だって。時々城に戻る感じかな〜」
鼻歌でも歌いそうな雰囲気のサミュエル様と、なぜかどんよりしているココちゃん。
ふふふ、なんだろう。楽しい予感がするわ。
馬車は走り出すのです。
ココちゃんを置いて。