第2王子シュバルツ
ちょっと短いです
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第2王子シュバルツ・ハノーヴァーは面白くなかった。
なぜなら、王様からの命令が自分を飛び越し、弟のサミュエルに行くからだ。
今回の視察団の接待だって本来ならシュバルツの仕事だった。
「さっきだって、明らかに僕のことを話してたよね〜嘘をつく子には罰を与えないとね〜」
チラッとさっきまでいた王様の執務室を見てから。人差し指を口に近づけ、
「とりあえず〜、嘘をつく子の婚約者でも取っちゃおうかな〜」
というと、楽しげに歩き出すのであった。
本来、シュバルツは悪い子ではなかった。だが、第1王子のスペアとしてしか周りの者は自分を見ない。ならば、元気でいる第1王子がいるんだから、自分は好きにしていいんじゃないか?と、考えだした頃、女の味を知ることとなる。
覚えたての猿のごとく。節操という言葉はぶん投げ。王子というブランドに甘いマスクを持った猿は種付けしまくった。この世界に、たまたま避妊薬があったのが幸いして子供はできなかったが、それをいい事に加速し、快楽に溺れていった。
これには王様も手を焼いた。何度も何度も苦言を呈し、諭し、言い含めた。
現在15歳のシュバルツに婚約者ができれば、落ち着くのではとも思ったが、本人がいらないと言う。
第3王子のサミュエルが婚約者にローズ・ベルタンをと言った時に、王様が言った「ん〜あのこは第2王子の婚約者候補にしようかと思っておったのだが……」と言ったのは、実は本当の事だったのだ。
ローズ・ベルタンは美しく、優しく、ヒールの使い手でもある。まだ10歳だが、もう少し大きくなればこの世で彼女の右に出る者はいないであろう。
第2王子も、美しく、優しい彼女に触れれば、考えを改めるのではないかと、王様は思っていたのだ。
だが、サミュエルが先に出会い、愛してしまった。そしてローズもサミュエルを愛している。
シュバルツはそこに割って入ろうと言うのだろうか。