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サミュエルの告白

 ⭐︎



 翌日、第3王子様がやってきた。


 王都と我が領地は隣接しているけれど、宮廷とこの邸までは馬車で2日はかかると聞いた。昨夜、ココが帰ってきたばかりなのだから、早くても明日来るのではと思ってたところだったので、異例の速さだとお父様が少々呆れ顔で言っていた。


「昨日、ココ殿にあまり待たせると口を滑らせると言われてね、馬を走らせてきたんだよ。私は君に伝えたいことがあるんだ」


「そ、そうなのですね」チラッと父を見ると顔を横に振っていた。……知らなかった事にするらしい。


「庭に2人で行きたいのだが、ベルタン殿よろしいですか?」


「はい。こちらでお茶の準備をしております」


 第3王子のエスコートで庭に出る。


 この地は暖かく、一年を通して花が咲いているの。

 今日もひまわりやハイビスカス、プルメリアたちが庭を彩っているわ。

 って、お花を見て気を紛らわせようとしたけれど、ドキドキが凄いわ。どうしましょう……。


「……ローズ嬢、あなたとはもっと話してから、私をもっと知ってもらってからと思っていたのですが……。自分の気持ちに気づいたら、居ても立っても居られなくなったのです」


 私の右手を両方の手で包み、自分の口元に持っていくと、愛おしそうにキスし、そして祈るように頭をたれ、そのまま跪いた。


 目を見上げ、じっと私を見つめたまま。


「愛するローズ・ベルタン。どうか、私と生涯を共に歩んでほしい。寝ても覚めても君のことが頭から離れない……。一目見た時から君の虜になってしまった、この哀れなサミュエル・ハノーヴァーを愛してはくれまいか?」


 私はすぐにでも返事をしたかったのに、心がいっぱいで、なかなか言葉が出てこない。


 嬉しさのあまり、唇が震え、涙が溢れる。


「は……は、い」


 もう、これが限界、精一杯。


「あぁ、ありがとう」


 抱きしめられ、そしてキスをされる。


 あぁ、もう、気を失いそうだわ……。


 何も考えられず、ほわほわした気持ちのまま腰を支えられ歩き出す。


「ローズ……いや、ロージーって呼んでいい?」


「ロージー? うふふ、かわいい響き。ええ、嬉しいわ」


「ロージー、では私のことはサミーと呼んで?」


「はい……。サミー?」


 再び、バッと抱きしめられる。


「あぁ〜こんなに嬉しいものだったなんて、ロージー、ロージー。愛している」


「うふふ。えぇ、私も、最初から愛していました」


「!! ほ、本当? う、嬉しい! 大切にする。君も、家族も」


「私も、大切にします。あなたも、ご家族も」


「ん〜〜私の場合は、私だけ大切にしてくれればいいよ?」


「まぁ。うふふふ」「ふふふ」


 2人で見つめ合い、笑う。



 それから父に報告をし、3人でお茶を楽しんだ。ココは少し離れた場所から見守ってくれていた。




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