ココの帰還
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ー ローズ視点に戻ります ー
「ココちゃん、どうしてるかな……。」
ベッドに入っても寝付けない。まだ、たった2日なのに。
サミュエル様、ココちゃん。会いたいな〜。
『ただいまじゃ』
「ココちゃん!!!おかえり!!ココちゃん!!!」
『ふふ。騒がしぃのぉ。あぁ、ただいまじゃ』
「よかった。元気そう。でも、早かったのね! 王子様のお手伝いはできたの?」
『もちろんじゃ。完璧に手伝ったぞ。それとな、王子は2〜3日中には来るぞ』
「え? そうなの? 何か忘れ物でも?」
『そうじゃ。其方へのプロポーズじゃな。婚約したいそうじゃ』
「……え? ええと、婚約?」
『そうじゃ。惚れているそうじゃ』
ぼっと音がしたような気がした。私の顔、火がついたように赤くなってない?
惚れてるって言った?
「ほ、ほ、ほれてる?」
私、夢見ているのかしら……。ココちゃんは戻ってくるし、王子様がプロポーズって。
フラフラ〜っと立ち上がると、部屋を出てお父様の元へ……。
「あら、お嬢様? お休みになったんじゃ……。お嬢様?」
クリスの声が聞こえるけど、それどころじゃないわ。
早く、早く知らせないと……。
コンコンとノックする。
「誰かな? 何かあったのかい?」
「お父様、私です」
すぐに扉を開けるお父様。
「どうしたんだい?……ローズ?」
きっと、私、惚けた顔をしているに違いないわ、だけど、だけど。
「お父様、たった今、ココちゃんが戻ってきたの」
「そうか! よかったね。寂しがっていたもんね」
「でね……王子様……サミュエル様が私と婚約したいんですって」
「な、なんだって? それは本当ですか? 神の使い殿」
私の肩にいるココに話しかけるお父様。
『其方もココ殿で良いぞ。婚約はしたいと言ってたな』
「ココ殿、……もしや、それは口止めされませんでしたか?」
『うん? あぁ、うっかり口が滑るかもしれんと言っておいたからな、大丈夫じゃ』
それって、喋らないっていう約束してから言うセリフじゃ……普通、すべらないけど。
「……なるほど、はぁ〜、もう言ってしまったんだし。仕方ないか」
「でも、お父様……私、嬉しいのです。第3王子様なら、我が家に来てもらえるのでは?あの方ならとても賢いし、お父様の跡を継げます。」
「ローズの気持ちはどうなんだい?」
「私も好きなのです……だから嬉しぃ」
「! そ、そうか。いや、ローズの気持ちが一番重要なんだよ?好きなのならそれでいい」
「はい。お父様」
気持ちも落ち着いてきた。いつの間にか控えてくれてたクリスが、
「お嬢様、そろそろ眠りましょう?」と手をとってくれる。
「お休み、ローズ。また明日話そう? いい夢を」
お父様もおでこにキスしてくれる。
「おやすみなさい、お父様」
自分の部屋に戻るとベッドに潜り込む。眠れるかしら……。
「おやすみなさいませ。お嬢様」
「おやすみ……」
先ほどまで抱えていた不安が嘘のようになくなっていた。
ココちゃんも戻った。サミュエル様も無事だし私と婚約したいって……。
ありがとう、お母様。今日はすごくいい夢が見られそう。