ウィッチプログラム rev.15
健、健二、健?
手を振ってステージの舞台そでに去る健。
「...」
マネージャーのマリー・ペニーと二人のボディガードを伴って
控室の扉を開ける健。
「...」
通路の壁に寄りかかり待ち受けるJr.とパトリック、ベヨンセ。
「やあ、健君。」
「っ!」
話を切り出すJr.
「さっきは大人げない対応で悪かったな。」
「もう少しだけ話したいんだけど、いいかな?」
歩み寄るパトリックに狼狽える健。
「君の願いに役立つことかもしれないよ?」
「っ!?」
冷やかに制止するマリー。
「およしになっていただけますか?」
遮るマネージャーに引きつくパトリック。
「ビジネスでもプライベートでも私を通していただかないと。」
「は、はあ。」
マリーに壁ドンのJr.。
「まあ、少しくらい大見に見てくださいよ?」
「うっ!?」
Jr.の現実歪曲フィールドに囚われ、焦るマリー。
「なっ!」
な、『セルフパニシュ』が効かないっ!?
ウィッチじゃないって言うのっ!?
Jr.の現実歪曲フィールドに戸惑うマリー。
「くっ!?」
二人のボディーガードを遮るベヨンセ。
「...」
「っ!」
パトリックの指示に応えるベヨンセ。
「手出しされない限り、動くなよ。」
「Yes,sir.」
パトリックの誘いに狼狽える健。
「さ、僕の控室で話そうか。」
「え、ええ?」
控室のドアを開け、健を誘うパトリック。
「さあ、入りたまえ。」
「え?」
待ち受ける慎一と直美に驚く健。
「な、あんた達っ!?」
「いよう。」
「い、泉さんと...」
呆けた様子の健にキレる慎一。
「だ~、いい加減憶えろよっ!?」
「慎一だっ!有働慎一っ!」
受け流す健に付け加える直美。
「あ、そう...」
「あの、ちなみに星泉までが姓で、名前は直美、です。」
事情を話すパトリックをはぐらかす健。
「荒っぽい事して悪かったな。」
「でもこうでもしないと君とじっくり話せないもんでね。」
「あんた達と話すことは無い。」
パトリックの答えに狼狽える健。
「そうかい、晶のこととか...」
「あるんじゃあないか?」
「っ!?」
健に問いかける慎一。
「あのよ、ひとつだけ聞かせてくれ。」
「お前、少し前までの記憶が曖昧なんじゃあないか?」
問い詰める慎一に動揺する健。
「そうなんだろ?」
「そ、そんなことはないっ!?」
「じゃなんで『晶』に反応したんだ?」
慎一の言葉に狼狽える健。
「お前ェの人生で晶って名前のおん、ヤツがいたのかよ?」
「ち、違うっ!?」
話を続ける慎一の横で俯く直美。
「違わねぇよ、お前は記憶を消されても晶のことは憶えてるんだよっ!」
「晶はそれだけ、お前の中に深く刻まれてんだよっ!」
直美を気にかける慎一。
「堪えどころだぜ、直美ちゃん。」
「悲しいけど、こいつの一番は晶だ。」
「...」
慎一の言葉を堪える直美。
「だが、お前ェを好きだったことには変わりないんだぜ。」
「っ!」
慎一を警戒している健。
「こいつはなぁ、いろいろあってお前ェのこと忘れちまった事もあったが...」
「詫びも含めて、話したがってんだよ。」
「...」
「そうすればお前も楽んなる。」
「それとも曖昧な記憶のままでもいいんかよ?」
健を諭すパトリック。
「健二、いや、健君。急に記憶をどうの言う気はないし...」
「恩着せがましく言うわけじゃないが...」
パトリックを睨む健。
「これだけは憶えててほしい。」
「外にいるJr.やベヨンセ、ショーン、スン達...」
「そして晶とここにいる連中たちは君を救うために戦ったんだ。」
「...」
狼狽する健。
「もし君が健二なら、これだけは憶えていてほしい。」
「だっ、だからっ!?」
健を問い詰める慎一。
「僕は健二なんてっ!」
「だったら、なんで晶だけ憶えてるんだよっ!?」
ドアを開ける警視庁の片山に動揺する一同。
「そこまです。」
「っ!?」
一同を睨みつける片山と部下の武田。
「何度言えばわかるんですか?」
「毬井健さんのエージェントはあなた達を民事で訴えるって言ってるんですよ。」
片山の宣告に狼狽える一同。
「毬井健さんを我々に委ねたのなら、かってな真似はしないでください。」
「...」
晶さんの記憶があるのが健二クン?




