ウィッチプログラム rev.14
Witch on the panelle
特設ステージ。
パネルディスカッション目当てにステージを囲む来客者たち。
登壇者たちを呼びこむ司会者。
「さあ、それでは参加いただいた皆さんにご登場いただきましょう。」
まずは毬井健さんとともに、YouPaletteで再生回数を誇る新進の女性シンガー...
アリアナ・グランデさんです。
大歓声のなか、笑顔で手を振りながらステージに現れるアリアナ。
次にGoodzillaのCTO、パトリック・マリナーさんです。
不満げな表情で手を振るパトリック。
何で僕が、Jr.より先なんだよ。
続いてNextaringのバイスプレジデント、スティーブ・アフェアズJr.さんです。
不満げな表情で手を振るJr.。
なんで、僕が健二の前じゃないんだよ。
笑顔で手を振るスーザン・ウォン。
そして、YouPaletteのCEO、スーザン・ウォンさんです。
ステージのそででお辞儀する健。
最後に素晴らしいステージでした、毬井健さんですっ!
大歓声に応えて手を振る健。
ステージを囲んでいる神妙な表情の直美と慎一。
「...」
ディスカッションのテーマに日本語で毒づパトリック。
「あ~なんだか、古臭いテーマだな。」
パトリックに言葉に苦笑する来客者たちに混ざってステージを見つめる直美。
ホントに大丈夫なんだろか、あの人たち?
アリアナに話を振るパトリック。
「どう思う?『ネットにおけるエージェントフリーの可能性』って、アリアナ?」
アリアナの意見を語る通訳。
「ケンも私もそれでここまでこれたのだから、まだまだ可能性はあると思います。」
日本語で意見を述べるJr.。
「例えば音楽とは関係ないダウンロードサイトと契約すれば...」
「メジャーレーベルと契約するより自主的で自由な作品の提供ができる。」
マイクを手繰り寄せて発言するパトリックに反論するJr.。
「僕が言いたいことはそんなことじゃあないんだ。」
「大した才能の無い奴が、たまたま人気を集めてるだけじゃないのかなってことさ。」
「論点ずれてるだろ。」
Jr.の自論に反論するパトリック。
「大した才能の無い奴が、そんなに人気を集めるとはおもわないがね。」
「ラッキーって言うのがあるんだよ。」
Jr.の指摘に反論するパトリック。
「じゃあ君はラッキーの連続だってわけだ。」
「ラッキーが続けば、それは実力ってもんだろうがっ!」
Jr.のツッコミにキレるパトリック。
「ほう、やっぱり君の実力はラッキーの賜物ってわけだ。」
「何だとっ!?」
二人のやり取りに慌てつつ、進行する司会者。
「まあ、落ち着いてくださいお二人とも。」
「ネット動画から火が付いてメジャーでデビューするといった現象を...」
「YouPaletteのウォンさんはどう思われますか?」
通訳を通じて平然と答えるウォン。
「そうですね、埋もれた才能をダイレクトに発揮できる場を提供できる...」
「そんな立場にいられて光栄に思います。」
ウォンにも噛みつくパトリック。
「ふん、膨大な広告料をピンハネできて、さぞかしラッキーだよな。」
「たいしたビジネスモデルでもないのに、やったもん勝ちだね。」
英語で罵り合うウォンとパトリック。
「What are you talking about, dumb-head?」
「I until told truth!」
二人のやり取りに狼狽え、健に話題を振る司会者。
「ま、待ってください!?」
「ここで、毬井健さんのご意見も聞いてみたいと思います。」
健の回答に吹きだす慎一と直美。
「皆さん、お元気ですね。」
紅白の演歌歌手か、お前はっ!
話を続ける健。
「ただ、ネットで人気を集められるのはラッキーだけでは無理だと思います。」
「努力に裏打ちされた卓越したセンスだと思います。」
健の言葉を遮り、憤るパトリック。
「努力なしでは...」
「何うまくまとめたって顔してんだよっ!」
Jr.の怒号に焦る司会者。
「要するに自分はセンスあるんだって、いいたいだいだけだろっ!?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」
混乱するステージを見つめ、爆笑する慎一と冷や汗をかいている直美。
「ひえぇ...」
「久しぶりなんで張り切ってるな、あいつら。」
狼狽える直美に答える慎一。
「健二君と仲良かったんですか、あの人たち?」
「あ、まあ、当時から健二を取り合ってたからな。」
「ええっ!?」
「まあ、いろいろあってな。」
検索とか携帯電話とか、どうなんなのよっ!?




