表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

ウィッチプログラム rev.13

健二クンはどこに?

ブースのバックヤードのテーブルに座り、カップ麺を啜るショーンとスン。

テーブルを囲むメンバーたちの動向を気にしている。


席についているのは慎一、直美、Jr.、パトリックとベヨンセ。

緊張して怯えている直美。

「で、お前たちはどう考えているんだ?」


聞き返すJr.に答える慎一。

「健は健二であり、それにどうアプローチしてくってことか?」

「それしかねぇだろう?」


ペットボトルのお茶に口をつけながら答えるパトリック。

「うちの財団のDNA調査では、毬井健は100%伊万里健二だ。」

「彼が意図的に別人として行動してるか、記憶を操作されてるとしか考えられない。」


慎一の問いを嘲るJr.。

「音楽の才能と記憶をうつされたってことか?」

「そんなことが可能なのか?」

「わからねぇが、そう考えねぇと辻褄があわねぇ。」


じゃあ、今は全然、健二クンじゃないってことっ!?


話を続けるパトリックを問いただす直美。

「なんとかして健二を取り戻さないと取り返しのつかないことになる。」

「取り返しのつかないってなんなんですか?」

「日本の野党第一党の党首が七井都に決まっただろう?」

「彼女は健二と同じく操られている。」


直美に問い返すパトリック。

「どこにですっ!?」

「日本の警察からなにか聞いてないのか?」


代わって答えるJr.に噛みつく慎一。

「中央統一だよ。」

「何だよそれ?」

「中国の新進コンツェルンだ。」

「ここ数年で力をつけて来た、な。」


話を続けるJr.。

「われわれのライバルでもある。」

「ITを中心にいくつもの企業に投資して、表立ってはいないが業界では寡占状態だ。」

「しかも『中央統一』のバックボーンは共産党にも影響力のある地下組織だ。」

「中世から続く地下組織を駆逐していった新しい勢力らしい。」

「共産党を牛耳るとまではいかないが、要求をのませるくらいの勢いはあるらしい。」


Jr.の言葉に狼狽える慎一と直美。

「しかも奴らが目論んでいるのは、日米同盟を解消させることらしい。」

「ええっ!?」

「健の力を使って民政党の七井都に政権を取らせる、燻る反米感情を利用して。」


Jr.の問いを鼻で笑うパトリック。

「もし、日本が、中国に寝返ったらどうなると思う?」

「ふん。」

Jr.の話を聞く一同

「親米のベトナムもフィリピンも、台湾すら追従するかもしれない。」

「そうなれば東南アジアは根こそぎ中国の友好国だ。」


Jr.を問いただす慎一。

「でもよ、それはアメリカが認めた結果だよな?」

慎一の問いに視線を漂わせるJr.とパトリック。

「...」


「核か?」


慎一の問いに苦笑するJr.とパトリック。

「...」

吐き捨てる慎一。

「まあ、いい。」


落ち着きなおって話を続けるJr.

「彼らは健を服従させるために『晶』を探している。」


また、『晶』っ!?


興奮気味の直美を諭す慎一。

「いいって、また後で話してやるよ。」

「っ!?」


問い詰める慎一に答えるJr.。

「でもよ、奴らがこれだけ晶を探してるってことは...」

「毬井健にはあいつの記憶があるんか?」

「あるらしい、としか言えない。」

答えを受け継ぐパトリック。

「僕らもこれだけ探して見つけられない晶に執着するってことは...」

「そういう事だとしか考えられない。」


疑問を曝け出す慎一。

「ますますわかんねぇな。」

「毬井健の記憶だが、健二の晶の記憶だけはある。」

「直美ちゃんの記憶はないのに?」


自分の不用意な発言に答える直美に動揺する慎一。

「あ、悪りっ!」

「分かるような気がします。」

「え?」

「たぶん、健二クン、晶さんの記憶を抱えることで...」

「元の世界を繋ぎ止めようとしているんじゃないかなって。」

直美の言葉に唖然とする一同。

「...」


直美の言葉に俯きながら震える慎一。

直美ちゃん、お前ぇはやっぱウィッチだぜ。


気を取り直して直美に依頼するパトリック。

「まあ、晶は見つからないが僕らの手の中には直美サンがいる。」

「君には健二の記憶の復元に協力していただきたい。」


健クンにはあたしの記憶はないのに?


雑なパトリックの自己紹介に動揺する直美と慎一。

「そして、アメリカが差向た健二奪還のエージェントが僕らってわけだ。」

「ええ、そうなんですかっ!?」

「いいんかよ、そんな明け透けな自己紹介でっ!?」


話を続けるパトリック。

「ああ、この後あるパネルディスカッションのあとに、健を拘束する。」

「攫うわけじゃない。直美さん、君と会話させる時間を作る。」

直美の問いにキレるパトリック。

「ええ、どうやって?」

「だから、僕らがディスカッションの参加者だっつのっ!」

動揺する直美に呆れる慎一。

「ええ、そうなんですかっ!?」

「パンフ読んでねェのかよ?」

口をそろえてドヤ顔なパトリックとJr.。

「まあ、こんなローカルなイベントに参加する気はなかったがな。」

「健が参加するって言うんで、なんかのチャンスかなって思ってね。」


直美の疑問に答える二人。

「と、ところでお二人ともなんで日本語で普通に会話してるんですか?」

「まあ、僕は日本支社で2年勤務してたかからね。」

「僕も中学の頃に留学してたからね。」

驚く直美に呆れるパトリック。

「ええ、そんな短い間にっ!」

「普通でしょ、それくらい?」

慎一のツッコミに慄く一同。

「そんな細けぇこと、登場人物の設定なんか、どだっていいんだよっ!」

「え...?」

「作戦会議すんぞっ!」

またもや第4の壁かっ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ