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ウィッチプログラム

ネットで超有名人が元カレ?

ピアノの弾き語りをしている毬井健。

千代田大学の講堂。

文学部英文学科1年生の今泉直美は、受講中にイヤフォンをしながらスマホで

その動画を見ている。

「...」

スマホの画面の中で歌う健に見入る直美。

「これ...」

呟く直美。

「あのヒトだ...」

「名前と...」

「顔はちょっと違うけど...」

スマホの画面から悲しげに見上げる健に戸惑う直美。

「うっ!?」

歌い続けている健の映像を見詰めながらつぶやく直美。

「健二、クン...」

このヒトは健二クン。

でも、憶えてるのは顔と名前だけ。

彼とどこで、なにがあったのかは思い出せない。

でも...

なんだかせつない。


大阪。

日本橋の純喫茶風喫茶店。

店内の液晶ディスプレイに映し出される健。


こんなことになるなんて想像できませんでした。


昼の報道バラエティでインタビューを受ける健を、カウンターから珈琲を

煎れながら見つめる中高年の女性。

「...」


インド、ムンバイ。

リビングのソファーに腰掛け、テーブルのノートPCでインタビューを受ける

健の動画を覗き込む中年男性。

日本人の身重の妻が声をかける。

「ランチよ、クリス。」

複雑な表情の夫ののPCを覗き込む妻。

「ああ、ケン・マリー?」

「ネットですごい人気みたいね。」

「...」


カルフォルニア、オレンジ郡サンタアナ。

ネットサービス最大手、Goodzilla本社。

ディスプレイのなかの健のインタビューを見つめる、神妙な面持ちのCIO、

健二と同い年のパトリック・マリナーと屈強な黒人女子ボディーガードのベヨンセ。

「彼だと思わないか?」

「...」


カルフォルニア、サンノゼ。

スマートフォン最大手、Nextaring本社のバイスプレジデントルーム。

健のインタビュー動画をPCのディスプレイでチェックするスティーブ・アフェアズJr.。


はは、ばれませんよ。通信教育なんです。

月に何度かは学校に行きますけど。


健の動画を再生するディスプレイを見つめながら、父であるスティーブ・アフェアズが

映し出された別のディスプレイに話しかけるJr.。

「どう思う、パパ?」

「...」


秋葉原の中華料理店。

給仕しながら店内のディスプレイで、インタビューを受ける健を見つめる金髪の少年と

黒髪の少年。


19歳、大学1年生です。

社会学部心理学科の学生です。


黒髪の少年の問いかけに答える金髪の少年。

「ショーン、これって...」

「ああ。」


秋葉原のアイデアトイショップ、「TONDEMOハウス」。

店の前で躊躇している直美。

確かここが健二君の...


TONDEMOハウスのオーナー、有働慎一はカウンターに片肘をついて、店内の

液晶ディスプレイに映し出された健を退屈そうに見つめている。


はい、契約しましたユニバーサルメディアと。


TONDEMOハウスは慎一が思いついたアイデアグッズを兄の武志のEMSで製品化し、

慎一が販売している。

慎一の奇抜な発想で世に出たグッズが小学生から大人にまでうけ、各地に支店を

開業するまでになっているが、経営は兄の武志に任せっきりになっている。


おずおずとTONDEMOハウスに入る直美。

「...」

直美に声をかける赤と白のストライプのワーキングキャップを被った制服姿の

店員たち。

「いらっしゃいませっ!」

ディスプレイの健に気付く直美。

「あっ!?」

やっぱり、ここは健二クンの...

直美を横目に見ながらおざなりな対応をする慎一。

「はい、いらっしゃ...」

しかし、直美を二度見して慌てる慎一。

「...おぉっ!?」

慎一の反応に驚く直美。

「ええっ!?」

名前を思い出そうとイラつく慎一。

「ああ、誰だっけかな、健二のっ!?」

慌てて自己紹介する直美。

「な、直美です。星泉直美ですっ!」

直美のことを思い出した慎一。

「ああ、そうっ!」

「健二と付き合ってた直美ちゃんっ!」

慎一の言葉に動揺する直美。

「はあっ!?」

狼狽える直美。

「ちょ、ちょっ!?」

「ホントに付き合ってたんですかっ!?」

落胆する慎一に詰め寄る直美。

「ああ...」

「付き合ってたんですか、私たちっ!?」

気落ちした慎一に気まずそうに答える直美。

「そうか、記憶無くしたんだよな。」

「は、はい...」

直美の問いを不機嫌に遮る慎一。

「でも、あの、これって健二、さんじゃ...」

「じゃねぇよ。」

不機嫌に答える慎一に反論する直美。

「記憶無くしてたんだろ?」

「人違いだよ。」

「で、でも...」


私は高校の頃、この毬井健に似たひとと付き合っていた、らしい。


これは人に聞いた話。

名前は伊万里健二で同級生。


強姦未遂。


私が健二クンを襲った、らしい。

これも人に聞いた話。

でも私にそんな記憶には一切ない。

未遂に終わったが直後、私には健二クンだけの記憶を失った。

「系統的健忘」といってよくある事らしい。

健二クンと家族は訴えなかった。


健二クンの記憶以外を取り戻した私はこうして学生生活を送っている。

母は亡くなった健二クンも赦してくれているという。


亡くなったっ!?


険しい表情の慎一に反論する直美。

「死んだんだ、アイツは。」

「でも、ネットじゃ行方不明だって...」

キレる慎一。

「死体がないだけでっ!」

「死んだんだよ、アイツはっ!」

涙ぐむ直美に慌てる慎一。

「うう...」

「ああ、ごめん。」

直美を宥める慎一。

「君が健二のことを思い出してくれてうれしいけどよ。」

「あいつは死んだんだ、俺たちのなかでは、な。」


ディスプレイの中の健を見つめる慎一。

でもよ、アイツじゃあないが...

『ウィッチ』を使ってる、コイツは間違いなく、な。


慎一を訝しむ直美。

でも何だろうこのヒト?

健二クンのことに随分詳しい?

肌は浅黒くて茶髪の短髪、外国人、ハーフ?

「あ、あの...」

「失礼ですけど、健二君とはどういう関係なんですか?」

吹きだす慎一に慌てる直美。

「ぷっ!?」

「ええ?」

慎一の答えに慌てる直美。

「まあ、あいつの義理の兄貴ってとこかな?」

「有働慎一って呼ばれてる。」

「ええっ!?」

慎一に丸め込まれる直美。

「そのへんややこしいからさ、おいおい話てやっからよ。」

「は、はあ。」

さあ、健二君をめぐる冒険をはじめよう。

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