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麻雀豊満記

「次は小町が親なの!」

「小町ちゃん、当たりだよ」

「ヤマトさんマジなの?」

 小町の親はヤマトの軽い手ですぐに流されてしまう。


「ごめんね千里ちゃん、それ、ロンだ」

「えー、ユウさんはこんなので待つんだ?」

 千里はユウが試した見え見えのひっかけにすぐに乗ってしまった。


 こうして進んだ最初のゲームはユウがトップ、ヤマトがプラスの二位、小町と千里は三位と四位で終了した。


 しかし小町と千里にめげた様子は見られず、逆に目を輝かせている。 

「ユウさんとヤマトさんはさすがなの」

「次はボクが勝つからね!」

 二人の反応に、ユウとヤマトは「こりゃあ手を抜いてあげないとゲームにならないな」と気を緩めてしまう。

 それが「罠」かもしれないとは一切思わずに。


 続けて二回戦目を開始する。

 今度は小町、千里、ユウ、ヤマトの順となる。

 するとそこにユウもヤマトも予想もしえなかったサービスが提供された。


「こちらをお使いくださいね」

 優し気な透き通った香りがふわりとユウの鼻孔をくすぐる。

 同時にユウの横へ一人用のトレイに乗せられたおしぼりとお茶が置かれた。

 

「どうかなさいましたか?」

 ユウは香りの主に一瞬心を奪われた。

 続けてヤマトの横にもトレイに乗せたおしぼりとお茶が置かれる。


 二人にお茶とおしぼりを届けたのは、いつのまにかウェイトレスさんのような白のブラウスと黒のショートタイトスカートに着替えたアリスだった。

 ブラウスからうっすらと透けて見えるピンクのブラと、ブラックタイトから覗く白い太腿が悩ましい。


「あ、ありがとうございます」

 ユウとヤマトは「洗牌」も忘れ、お礼を言うのが精いっぱいだった。


 ちなみに洗牌とは、牌を積む前にがらがらがらと四人で混ぜること。

 これをやらないと山に牌がかたよったりする。

 

「ユウので当たりなの、トイトイ・小三元なの! ハネマンなの」

「ツモだよ! チートイツ・ツモ・ドラドラでマンガンだよ!」


 ということで、二回戦目はやけに対子や暗刻が多い上がりで千里がトップ、小町が二位となる。

 一方のユウとヤマトは僅差で三位と四位という結果に終わった。


 そして三回戦目に突入。


 するとそこにどこかに出かけていたエミリアとリザが帰ってきた。

「えっ」

「えっ」

 二人の姿にユウとヤマトは一瞬硬直してしまう。


 二人は迷彩色のジャンパーとズボンに身を包み、それぞれが物騒なライフルを担いでいるのだが、なぜかジャンパーの胸元は大きく開かれ、そこから鮮やかな色のブラに支えられた、たわわに実る二つのふくらみが、これでもかという具合で自己主張をしている。


「おや、郵便屋さん、いらっしゃい。どれどれ?」

 エミリアが遠慮なくユウの隣にしゃがみ、彼の手牌を覗き込む。

 ブラウンウェービーロングの髪がユウの首筋にふわりと触れ、彼の鼻孔に甘酸っぱい香りを振りまく。

 さらにユウの視線はパープルのブラから溢れそうなエミリアの胸に釘付けになってしまう。

 

「猫さんもいらっしゃい。そうか、今日は麻雀の日だったな」

 リザはヤマトの背後から肩越しに彼の手牌を覗き込んだ。

 耳元をくすぐるリザの吐息はヤマトにムスクを思われるフェロモンを届け、彼をとりこにしてしまうのと同時に、背中を二つのふくらみで圧迫し、彼の色々なところを色々な意味で固くさせてしまう。

 

「ユウ、それロンなの。こんな見え見えの清一色に振ってくれてうれしいの」

「そんなのがヤマトから出るとは思わなかったよ! 倍満大当たりだよ!」


 しかし小町と千里のロンにも、ユウとヤマトは気もそぞろ。

「惜しかったねえ。次はがんばるんだよ」

 横からエミリアの胸がユウの肩口を優しく圧迫し、彼の右半身の感覚を奪ってしまう。

「そういうこともあるだろうな。気にするなヤマトよ。ノープロブレムだ」

 リザがヤマトの横に回ったことにより、今度は黒のブラと白い胸のコントラストがヤマトの視線を奪う。 

 

 ということで、第三戦目はユウの点棒が底をつくぎりぎりのところで、ヤマトのぶっとび(ハコワレ)で終了。

 千里と小町が大差でワンツーフィニッシュとなり、ユウとヤマトは大負けとなった。


「それじゃあゲンボクちゃん、シャワーを浴びて来るよ。ほらリザも行くんだよ。背中を流してあげるからね」

「背中を流していただくのはありがたいが、胸と股間は自分で洗うから結構だエミリア。それでは行ってくる」


 エミリアとリザが残したセクシートークの影響だろうか、第四戦もユウとヤマトはぼろ負けしてしまう。

 そこでやっと二人は我に返った。

 このままではいけない、麻雀に集中しないと。


 しかし彼女達の行動はその決意の上を行き、彼らの手ではなく彼ら自身ををテンパらせてしまうのである。

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