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初めてのお買い物

 まずはアリスと、もう一人増えた小町の衣類と食料を調達しなければならない。

 小町が増えたが、今日は予定通り近くの町まで愛車を走らせるとしよう。


 駐車場代わりの庭で、アリスが俺の愛車に感心している。

「大きな自動車ですね」

「おう、村役場の仕事で色々と用途があるからな」

 ちなみにこいつはアダルトビデオの車内プレイや連れ込みプレイで大人気の車種だ驚け。

「アダルトビデオ?」

「何でもない」

 小町がそこに反応するとロリが湧くからやめろ。


 男一人に女二人で夜のドライブ。

 しかも俺は二人からご主人様とあがめられる存在。

 ここは当然アリスと小町が助手席争奪戦を繰り出すだろうと予測した俺は、事前にあみだくじを用意したんだ。

 機会均等は大事だからな。

 なのにね、なんで二人とも仲良く後部シートに座っているの?


 どうやら小町は助手席をアリスに譲ろうと後部シートに座ったのだが、当のアリスは小町が持ち込んだおにぎりとお茶に誘われ、そのまま小町の隣に座ったようだ。

 おにぎりに負けるのか俺は。

 まあいい、出発するとしよう。


 村を出て農道というには立派な道路に出たところで、どうやら小町はおにぎりの準備をし始めたようだ。 

「ゲンボクちゃん、おにぎり食べる?」

「そうだな、いただくか」

 ありがとよ小町。

「私もいただきますわ!」


「それじゃお姉さまどうぞ」

 最初は俺ではなくてアリスなのか。 

「小町のおにぎりは最高ね!」

 アリスが驚きの声を上げている。

「お姉さまに褒めてもらえてうれしい」

 お前ら二人でなに和気あいあいとやってんだよ。

 俺はただの運転手かよ。


 すると小町は運転席の真後ろに回ると、突然両手をこちらに回してきた。

「ゲンボクちゃんもはいどうぞ」


 って小町!

 運転席の後ろから手を押し付けるな!

 口の中に直接おにぎりを突っ込むな!

 前が見えねえよ!

 喉がつまるよゲフンゲフン!

 

 うー。

 アリスはともかく、小町には日常生活と一般常識を教える必要がありそうだな。

 おにぎりは美味かったからいいけれどさ。

 

 実は近くの町といっても車で三時間は走らなければならない。

 目的地に到着したときには、時計の針は午後九時の少し前を指している。

 ここはど田舎に建てられたショッピングモール。

 閉店は十時。


「それじゃあアリス、小町、急いでお前達の服を買うぞ」


 あれ、なぜかアリスが驚いたような顔をしている。

「そのためにこんな遠くまで来て下さったのですか?」

「そうだよ、明日も暑いだろうからな」

 ちなみに村にはクリーニング店もないから、自分で洗える服を選ぶように。


 もう一人の娘はキョトンとした表情。

「どうした小町」

「服?」

 そこからかよ小町。

「アリス、小町はわかっていないようだから一緒に頼むぞ。下着もだからな」

 ほら、閉店まじかの時間との勝負だ、急げ!


 さすがはど田舎のショッピングモールなだけあって、平日のこの時間はほとんど人がいない。

 そのおかげでなんだかんだと買い物をスムーズに済ますことができた。


「四万九千八百円になります」

 おお、これだけ買ってもこんなもんで済むのか。

 さすがは斜陽といわれながらも天下の量販衣料店だな。

 小町は色々と物珍しいのか、店員さんに袋へ入れてもらった自分の服を出したりしまったりしている。

 こら、床に下着を並べるな阿呆。


 ちなみに俺はアリスと小町が衣料品を購入している間にスーパーで食材を調達していたんだ。

 これからは毎日三人分の食事が必要だからな。


「ん? どうしたアリス」

「私はゲンボクちゃんの付喪に生まれましたこと、うれしゅうございます」

 突然何を言い出すんだ、って、どこを見ているんだお前は。

 どうやらアリスは山のように買い込んだ食材に感動しているようだ。


 するとアリスと一緒に食材を見つめている小町が続いた。

「ゲンボクちゃんの好みがわかったの。今日から頑張るの」

「好み?」

「この食材を上手に使うの」

 おお、それは楽しみだ。


 真っ暗な帰り道。

 この様子だと家に到着するのは夜中の十二時を過ぎる。

 帰り道もアリスと小町は後ろの席。

 そして俺は運転手。

 まあいいや、これも人生だ。


 ところが間もなく中間地点というところでアリスが後部座席から声をかけてきた。

「ゲンボクちゃん、車を一旦止めていただいてもよろしゅうございますか?」

「どうしたアリス」

「小町が寝てしまいましたから」

 そっか。

 ん、助手席に座るのか?

「それじゃ行くぞ、明日も仕事だからな」

「はい、ゲンボクちゃん」

 

 助手席のアリスは、俺に眠気が襲ってこないように色々と話しかけてくれる。

 そうして間もなく家に到着というところで彼女が俺にとどめを刺す。


「ねえゲンボクちゃん。家に帰ったら、ちょっとだけ、私と遊んでくださいね」

「いいのか?」

「もちろんです」


 うん、いい人生だ。

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