最初の贈り物
夕食後はそれぞれ就寝まで好きなように過ごす。
ということにしているのだけれど、洗濯をしているエミリア以外は、なぜか俺の周りに張り付いている。
ウイスキーを舐めながら俺が開いているのはノートパソコン。
まずは背中に覆いかぶさって画面を覗き込んでいるアリスが俺に聞いてきた。
「ゲンボクちゃん、今日はショッピングモールのチラシはプリントアウトしませんの?」
「アリスよ日付を見ろ。あさってまでチラシの内容は同じだからな」
次の質問は俺のひざの上にもぐりこんでいる小町から。
「何を探しているのゲンボクちゃん」
「千里の運転免許取得について調べているんだ」
「え、ボクの?」
「そうだよ千里。お前が運転免許を持ってくれれば、俺と二人で交互に運転できるから、一泊二日でも遠くまで旅行ができるようになるだろ?」
ちなみに千里は遠慮がちに、俺の左でぺたりと女の子座りをしている。
するとちょうど洗濯が終わったのか、エミリアが左から俺に飛びついてきやがった。
「素晴らしいなゲンボクちゃん! 特に旅行って響きが!」
グキッ!
ど阿呆いきなり俺の顔を無理やりそっちに向けてキスをするんじゃねえ!
首から変な音が響いたじゃねーか!
「痛いよエミリア!」
「ごめんよゲンボクちゃん……」
どうやら首は無事のようだから勘弁してやるとしよう。
俺の分身が思わず反応したのは内緒だ。
あ、そうだ。
「どうなさいましたか、ゲンボクちゃん」
「ちょっとね、おいエミリア手伝え」
「あれを出すんだね!」
またそういう表現をする。
エミリアの分もあるんだから、あんまり軽口をたたくんじゃないよ。
一旦寝室の奥へと引っ込んだ俺とエミリアは、大きな紙袋を四つ抱えて戻ってきたんだ。
「はい、それじゃ注目、皆さんに『就職祝い』です」
まずはアリスにはベージュのトートバッグだ。
きっとアリスはこの使いこなすだろう、できるよな、アリス。
次は小町。
お前にはパープルのランドセルタイプカジュアルバックパックだ。
お前はあぶなっかしいから両手を空けておけ。
エミリアにはブラックのボストンバッグ。
どうせエミリアのことだ、色々と持ち歩くんだろうからさ。
お前が一番大きいバッグだ。
千里にはブラウンのメッセンジャーバッグな。
急遽選んだやつだけれど、お前に似合うと思うよ。
「それにそれぞれの荷物を入れて月曜から仕事に励めよ、お前ら」
トートバッグを肩にかけ、嬉しそうにステップを踏むアリス。
ランドセル型のバックパックをしょって、楽しそうに踊る小町。
ボストンバッグを両手に持ち、優雅にしなってみせるエミリア。
メッセンジャーバッグを肩からクロスにかけて、自慢げに胸を張ってくる千里。
うん、大正解だったな。
「お前ら、ものすごくうれしいのはわかったから、そろそろ順番に風呂に入って寝る支度をしろよ」
そうしたらアリスが大胆な発言。
「ゲンボクちゃん、私たち、もう我慢できませんの……」
じゃあどうするの?
「お風呂でお待ちください」
え?
わかった、とりあえず一番風呂は世帯主の責任だからな。
それじゃあ行ってくる。
するとすぐにアリスが追いかけてきた。
「ゲンボクちゃんのお世話をするのが私のお務めですから……」
ああ、気持ちいいぞ。ホント、体を洗われるって、性的な意味以外でも気持ちいいよな
「それでは、お情けをいただきます」
ん、なんだって?
ところがアリスがつぶやいた言葉を確認する間もないままに、賢者タイムも許さぬといった表情で小町が全裸で風呂場に現れた。
「お姉さまはさっさと替わるの。ゲンボクちゃん、欲しいの」
ホントお前はストレートだよな。
まあ、ロリに性的表現は色々とまずいけれどな。
それじゃ早速。
って、間を置かずにこんどはエミリアかよ。
「あたしにも頼むよ」
こうなるとそうだよな。
お前も順番に来なきゃならないよな。
「ゲンボクちゃん、ボク、初めてなんだ」
わかった。優しくするからな、ゆっくりゆっくりとな。
うう、のぼせちまった。
ところで、アリスへ発射した直後に彼女が俺の耳元で囁いた
「enough energy for release the ability level one」
っていったい何のことだろう。
直訳すると「能力レベル1を解放するための十分なエネルギー」って意味だよな。
改めてアリスに聞いてみるとしよう。




