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スノーホール  作者: 沖田藍灯
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吉報


初めて投稿させていただきます、沖田藍灯と申します。

このおなしはなんとなく、ぽっと思いついたものです。

書いているうちに内容がかなり広がっていってしまったので、連載小説という形にさせて頂きました。

初心者故に拙い文章ではありますが、すこしでも楽しんで頂ければ幸いです。

父さんが死んだ。

そう知らせを受けたのは、つい先日のことだった。

もう、しばらく顔も見ていなかった。

結婚が決まったとき、報告の連絡を入れた電話で声を聞いたのが最後の交流だろうか。

今どこに居るのかも、知りはしなかった。

だからだろうか、正直その知らせに深い感情は芽生えなかった。


どういう経緯かは知ったことではないが、その時父さんは北海道に居たらしい。

町人もそう入らないような深い雪山の洞窟の中で亡くなっていたのを、地元の猟師が見つけたそうだ。

そう、電話越しに伝えられた。

深夜3時頃の事だった。

「夜分遅くにすみません、瀬川さんのお宅でしょうか?」

少し慌てた様子の若い男の声を聞いたときに、あるいは何か察していたのかもしれない。

僕の知らない、聞き覚えもない声が、僕の旧姓を口にした時から。

だから、

「二日前に、皐月町の雪山の洞窟でお父さん…瀬川宗太さんが、お亡くなりになられました。」

と、重々しく零された言葉を聞いても、さして驚きはしなかったのだろう。

ただ、もしほんの少しでも何かしら思うところがあったとすれば、

「……そうですか。」

と短く返した言葉の前の一瞬の間が、僅かばかりの悲しさだったのかもしれない。


ともすればむしろ、その後すぐにそのことを伝えた妻の方がよほど悲しんでいた。

僕の母であり父さんの妻である人も数年前に亡くし、一人息子の僕の他に親しい親類もない父さんのことだ。

そんな風に涙を流して死を悼んでくれるのは、妻くらいのものではないだろうか。

一向に悲しむ様子も、実父の死を悼む様子もさして見受けられない僕に、妻は泣きながら

「あなたらしい」

と笑った。

僕がなんのことか解らないというように眉をひそめると、

「あなたのお父さんもきっと、そんな人だったのでしょうね。」

と言ってまた、涙を流した。

僕が父さんに似ていると言いたかったのか、僕を薄情な奴だと蔑んだのか、少なくとも後者のようなことを口にするような女性ではなかったように思うが。

やはりよく解らないまま、僕は静かに泣く妻の肩を抱き、泣き止むまでさすった。




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