8,Girl's talk
8,Girl's talk
Men is a pushover
for a pretty girl...
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「今日は洗いざらい聞くんだからね!」
半ば無理矢理、泊りに来いと約束を取り付けた目的はこれなのだろう。洗い髪の少女が2人、パジャマ姿ですることと言えば。
「藤堂さんのこと?」
佐倉は真面目な顔で何度も頷いた。
「何者なの。参観日、あんたが教室飛び出した後、今度はあの人が飛び込んで来てさ。何、何なの。あの男前は!彼氏じゃないなら私に頂戴!」
佐倉は少し興奮しているらしく。二人して見つめ合う。沈黙が覆う。佐倉の鼻息が少し荒い。
彼氏と軽々しく呼ぶには年齢の離れ過ぎている沖津と藤堂さん。何より、彼氏じゃない。マンションのあの部屋、二人で暮らしているとは言っても、乳繰りあった記憶もない。 この関係を佐倉に分かりやすく伝えるには何と答えればいいのだろう、ただ佐倉を見つめる沖津。
なぜ沖津が不思議そうに自分を見ているのかが、皆目見当つかない。恋人でもなく、援交でもなく、保護者でもなく、親戚でもない。以前沖津はそう言った。ならば、二人は一体何なのだ。沖津の両親が亡くなって、急に現れた男、藤堂晶。野次馬根性を友情という隠れ蓑に隠して、問う佐倉。
ゆっくりと沖津が口を開く。
「彼氏じゃないなぁ…?でも、あげない。」
「はぁ!?何…――あ、わかった。あんた、押し掛け女房なの?」
佐倉は笑む。それが少し、皮肉にさえ見えて。しかし沖津は逆に気分が良くなる。何だか佐倉に勝ったような気がして。女としての、勝利。
「…押し掛けた時はそうじゃなかったけど…――。今はそうかも。」
「はは~ん。」
佐倉の小憎たらしい笑みは益々深められて。それが少し、沖津の心に雲を掛ける。
「あんた、片思いなんだ!」
沖津には言葉もない。
実は分かっていた。
どんなに大人びたつもりでも、彼から見れば私なんて只の子供。
片想い、なんてフィールドにも立てていないんだ。