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執事とお嬢と拳銃と!‐With a Butler!‐  作者: gwちゃん
第五話:執事、襲撃、恐怖。
33/44

-7-

 「次、交差点、右でス」


 ――間に合ってくれ。俺の内心を理解したかのように、信号は青だ。俺はインカムから聞こえたオデットの声に従い、XJRの車体を右に傾ける。


 オデットが指示した場所は、東奥市の外れにある東奥埠頭。先ほどからそこの敷地内を、4台の車と共にうろうろしているらしい。


 目の前に東奥埠頭の看板が見えた。今の時間帯、人の姿は見えない。ただ、何処からともなくタイヤのこすれる耳障りな音が聞こえてきた。


 「マスター、コの先550メートルでス」


 歩道を乗り越え、車止めの間を縫い敷地内に侵入する。

路地を曲がり、乱立する倉庫を超えると、その先に円塔寺家所有の白い車が停車していた。それを取り囲むように4台のバンと男達が立っていた。


 「この、野郎っ!!」


 俺はギアを一段入れ替え、アクセルを限界まで捻りXJRを加速させる。


 メーターは時速140を指す。カタログスペックではもっと速度と馬力が出るはずなのだが、エンジンが限界なのか、回転数はあがらずそれどころか白煙を噴きはじめた。車体が、ハンドルが今にも転倒しそうなほどに大きくぶれ安定しない。


 「マスター、以上でナビは終了でス」

 

 「ありがとな!」


 「アイ。グッドラック、マイマスター」


 オデットの言葉に、短く告げる。目の前の男達が、俺に気が付いたのか手にした銃口をこちらに向けてきた。そして間髪入れず引き金がひかれる。幾つもの銃弾がマズルフラッシュと共に破壊の意思を纏い、俺に殺到してくる。


ぶれるハンドルを操り、車体を蛇行させる。


 地面で銃弾がはじけ、火花が散る。大半の銃弾は避けたのだが、それでも無傷ではなくミラーが吹き飛び、ウィンカーがはじけ、フューエルタンクやテールを銃弾がかすめていく。右頬をかすめた弾丸で、頬が切れ血が滲む。


 「マスター、危険でス」


 「わかってる!くそっ」


 エンジンに弾丸が命中し、立ち上る白煙の量が増した。もう、持たないかもしれない。


 ライトに銃弾が直撃し、灯りが消える。

消える直前に、円塔寺の車の運転席にレスカの怯えた顔が見えた。直後、タイヤに銃弾が命中し、タイヤがバーストする。金属部分が火花を散らし、グリップを無くした車体が傾く。


 「ちっ!!」


 判断は一瞬。俺はバイクを少しでも直進するようにハンドルを切ると、その銀色の車体を蹴った。思わず毒づく。


 身体が浮き、XJRは慣性に引かれて、直進していった。途中で倒れ、火花を激しく散らしながら逃げ遅れた何人かを巻き込んで地面を滑り、止まっていたバンの先で止まった。


 俺も空中で身体を捻り、地面に着地する。勢いは殺せなかったので、着地した姿勢のまま地面を滑る。靴底がアスファルトでこすれ耳障りに音を立てた。


 俺が体勢を整え顔をあげたのと、限界を迎えたXJRが爆発し火柱を挙げたのは、ほぼ同時だった。


 「オープンコンバット、でス。オ気を付けて」


 オデットがインカム越しに呟いた。

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