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「……決行は明日だ。お前は仲間を率い、明日18時30分を持って作戦を決行。いいな。私は邪魔なSPどもを引きつけよう」
「お、おう……了解」
振り返らずに依頼人は言葉を返してきた。機械音声とはいえ、冷たい圧力が伝わって来る。斎藤は思わず逃げるように下に視線をそらした。
俯き、落とした視線の先にある銃。
――今この銃でこいつを殺せば、ただで金が手に入る。
ふとよぎった考えに、男はごくりと唾を飲んだ。簡単だ。引き金を引くだけだ。すぐに終わる。
考えた時間は二秒にも満たなかった。
そしてすぐさま行動に移そうと握りしめた銃を、依頼人に向け――
「何をする気だ?」
銃の引き金に指を掛け勢いよくその腕を振り上げ、見上げた視線の先に依頼人はいた。
だが、瞬きをした次の瞬間には自分の真横に立っていたのだ。
ほんの数瞬に、だ。
そして、その手にはブレード――身振り45センチ程、黒一色で形成された刀身は薄く、電撃でもまとっているのか時折紫電が走っていた――が携えられ、その切っ先は自分の喉に向けられていた。
刀を抜く動作も、そもそもそれ以前に彼の傍らに移動した動作さえも彼の目には捉えられなかった。
「余計な考えは起こさない方が身のためだ。一つしかない命、大事にした方がいいぞ?」
「あぁ……。すまない……」
手から銃が滑り落ちた。床で重く跳ね、ソファの足に当たって止まった。
「理解してくれたならいいさ。さて、細かい打ち合わせに移ろうか」
「あ、ああ」
ブレードを何処ともなく納刀すると、依頼人はマスクを外し、酷く小綺麗な顔でほほ笑んでみせた。




