1/44
‐それは終わりか、始まりか‐
いくつもの白い泡。
鼓膜を微かに震わせる、重い爆発音。遠く歪んで聞こえるのは水中だからで。
水圧で圧迫され、口からごぼりと白い泡が漏れた。
無事に皆は逃げられただろうか。
霞む意識で考える。
皆、怪我なんかしてないだろうか。
命にかかわる怪我でもしてないといいが。
真っ暗な海の底に、幾つもの客船の破片と共に俺の体は沈んでいく。体中の傷跡から、冷たい海中に血液が漏れ出しているのが何となくわかる。だんだんと末端から身体が動かなくなっていくのも、だ。
ああ。死ぬのか。
ああ、死にたくない。
ああ、また、会いたい。
ああ、生きたい。
生きたい。
でも、どうしようもないくらいに身体は言う事を聞かない。
ごぼり、とまた白い泡が口から漏れた。
急速に意識が遠ざかっていく。視界が狭まり、絶望的なまでに黒に染まる。
俺が、消失していく。
暗く。
黒く。
冷たく。




