表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
High A of the YBC   作者: 枕木悠
第六章 ハートに火をつけて
39/49

第六章②

ヘンリエッタは温いコーラを二本持って、アメリアの部屋へと歩いた。東洋の魔女がピチカートとシャーロットによって拘束され、宮殿は少し静寂を取り戻しつつあった。夕食を食べに魔女たちが食堂に集まってきたから、それを機会にヘンリエッタは食堂から出たのだ。一人で様々なことを考えた。答えのないことを考えていたから、少し頭に血が上って、疲れた。そういう時は、冷えたコーラとアメリアがいい。

 しかし、残念ながら温いコーラしかなかった。

 それでもないよりまし。

 ヘンリエッタはアメリアの部屋をノックした。

「アメリア?」

 ヘンリエッタは口実をまとめていた。アメリアの部屋に来たことの理由である。ただ顔を見たいから、声を聞きたいから、少し触りたいからなんて理由はヘンリエッタの口は言わない。だから、きっとヘンリエッタみたいに落ち込んでいる、アメリアに「気分はどう?」と少し優しく言おうと思った。

 しかし。

 なかなか、返事がなかった。眠ってしまったのだろうか?

 鍵は……?

 開いている。

 ヘンリエッタはドアノブを回して押し開く。

 風が、ヘンリエッタに降り注いで、ヘンリエッタのストロベリーブロンドを揺らす。

 強い風。

 思わず顔を背けるほどの風圧。

手の平をかざす。

風は、夜空から注がれていた。

シルクのカーテンがはためいて、僅かに音を立てている。

風が逃げ場を見つけて、落ち着くと、ヘンリエッタはやっと部屋の中を見回すことが出来た。

不自然に、床に転がる二つのボトル。

天井に向けて開かれた、ページがボトルの形にくり抜かれた百科事典。

回るレコードプレイヤ。

ベッドの上は滅茶苦茶で。

脱ぎ捨てられた、宮殿の魔女の制服と、その上に微笑んだアメリアの顔写真。

許可証のものだ。

ヘンリエッタはソレを手にして、窓から、顔を出した。「……どこの空を飛んでるの?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ