第四章⑧
ミリカは頭の中で地図を広げ、魔弾が仕掛けられているポイントを通過して、チェルシーガーデンまで辿り着けるルートに赤線を引っ張った。
ミリカはそのルートを飛び、追いかけて来る、アメリアと、アメリアを乗せた魔女を撒くために、魔弾を爆発させた。
しかし、その魔女は速かった。速いだけじゃない。緩急を自在に操って、魔弾の爆発から巧妙に逃げていた。それは信じられない動きだった。
そんな動きをする魔女といったら、あの人しか思い浮かばない。
いや、まさか……?
ミリカはちらりと後ろを振り返って、路地の行き止まりで、左へ急旋回。
眼鏡がないから、よく分からないけれど、でも……。
目の前の景色は、チェルシーガーデンだった。
目的の場所に辿り着いたのだった。
チェルシーガーデンは一面の緑の上に赤、青、黄色、色とりどりの花で埋め尽くされていた。
そこへ別の方向から、アメリアを乗せた魔女が現れ、停止した。
ミリカの目の前で。
魔女はミリカを見ている。
距離が近い。
さすがに眼鏡がなくても、魔女の顔は良く見えた。
伊達絵莉子。
私の大切な人。
ミリカはブレーキの仕方を忘れた。
今まで逃げていたのに、その人に向かって飛んでいた。
逆走。
時計の針が逆回転する。
記憶が次々に蘇り、膨らんだ気持ちの導火線に火付いた。
破裂してはじけ飛ぶように、箒を捨て、
「えっちゃん!」
ミリカはエリコに向かって両手を広げた。




