第四章⑥
ミリカは炎上している弾薬庫の上空を旋回していた。
予想していたよりもずっと爆発の規模が大きかったからだ。弾薬庫には相当な量の爆発物があったのだろう。いや、ミリカはそれを見越して誘爆を狙ったのだ。そのおかげでドラゴンを炎の中に閉じ込めることが出来た。ミリカの狙い通りになった。しかし、ミリカは爆発が足止め程度になればいいと考えていた。ドラゴンを包み込むほどの炎は求めていなかった。
予測は外れた。
そのせいで、私のせいで、アメリアはドラゴンと一緒に炎に飲まれたのではないかと、ミリカは、何も考えられなくなった。
旋回して、しばらく、炎の中を、眼鏡もないのに、炎しか見えないのに、見つめていた。
どれくらいそうしていただろうか?
とても長い時間そうしていたようでもあるし、一瞬だったかもしれない。
時間の感覚を失ったミリカを現実に引き戻したのは、アメリアの声だった。
ミリカは声の方向に視線をやる。
弾薬庫の対岸に、眼鏡がなくて、はっきりとは分からないが、ミリカが着せた黒い服のアメリアの姿があった。
アメリアは傍に立つ、箒を持った、魔女に向かって何かを言っていた。
ミリカは炎の上で旋回しながら、胸の前で五指を組んで、神に感謝した。
よかった、本当に。
目を閉じて、ホロリとしているミリカの耳にはアメリアの叫び声で造られた訴えが聞こえる。
飛べるとか、飛べないとか、乗せてとか、乗せないとか、それは魔女同士の会話とは思えないほどに奇妙だった。
結論が、出たらしい。
アメリアはその魔女の後ろに跨った。
ミリカは、その魔女の鋭い気配を感じて、慌てて炎の上から急上昇する。




