第四章②
アメリアが育ったのはハイランズ地方のインヴァネスという都市のはずれのテス湖という湖が見渡せる、アーカード城という、ベルズ・アーバスとは比べものにならない小さな宮殿だった。
アメリアは物心ついた時にはそこで暮らしていて、ドラゴン使いと呼ばれる職業の人々が周りにいた。ドラゴンも周りにいた。アメリアにとってドラゴンは友達みたいな存在だった。アーカード城の役割は、テス湖に産み付けられたドラゴンの卵を孵化させ、王都を守護するための優秀なドラゴンを育てることだった。
ある日、アメリアはドラゴンの卵を渡された。すでにドラゴン使いとして優秀と周りからも認められていたアメリアの最後の課題は、ドラゴンを卵から孵化させることだった。それは物凄くデリケートな作業、そして失敗は許されない課題だった。
アメリアはその卵を服の中に入れて温めた。卵は巨大だから、アメリアは子供を妊娠したような姿で宮殿の中を数日歩き回ったことになる。アメリアは人の赤ん坊にそうするように、撫でたり、声をかけたり、歌を聞かせたり、愛情を注いだ。
そして生まれたのが、こうして、立派に育ったブリジットだった。
ブリジットにしてみれば、アメリアは母親である。
ドラゴンの耳にだけ聞こえる指笛が、アメリアがブリジットに教えたサインである。
ブリジットはアメリアを背に乗せて、東洋の魔女を追いかける。




