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2:声

校庭に着くとそこはすでに人気もなく,教員も全員帰ってしまった後の静けさだった。


「おいおい…一体何なんだよ?校庭に魔道書でも置き去りにしたか?」

ヘルは移動魔法は使えなかったようで息を切らしている。

だけど俺にはわかった。

やっぱり様子がおかしい。


「はい?ぇえっ?ちょっ…ふぎゃぁ!」


レイが意味不明な声を発して指差した先には骸骨の戦士と言えば一番説明がつくかのような物が大量にいた。

おいおい…確かあんな姿のやつを魔物とか言って超高度の闇魔法だとか授業で言ってた様な…


「ライトッ!」


レイが骸骨軍団を追い払おうと魔術を唱えている。ヘルは華麗に回し蹴りで骸骨を倒していた。

…俺はどうにか防御魔法で逃げているだけ。情けないね。自分が。

それにしてもなんでまたいきなりこんな奴らが。しかもさっきの声は何だったんだよ?

更に骸骨軍団は数が減らず,むしろ増えているようにも感じた。


「きりないよぉ〜。」


レイが倒した骸骨は地面へと溶け込んでいるし,ヘルが倒した骸骨も同じだった。

俺はここでもさっきと同じ嫌な感じがした。

何か自分への危険が迫っているような。

まさにその時,地面からでっかい蜘蛛がすり抜ける様に出てきた。


「…おいおい…」

「…こりゃあ大惨事…」

「蜘蛛嫌ぁぁぁぁぁ!!!」


三人が唖然としているとその蜘蛛は糸を吐き出しあっという間に俺ら3人を捕らえてしまった。

こんな糸で縛り付けられては何も出来ないし身動きすら取れない。


「ちょ…ロス!くっつき過ぎ!!」


そう言われましても…。

蜘蛛はそのまま攻撃してこないで黙っていた。

すると突如周りの風景が歪み,消え,そして突然草原のような場所に俺たちは移動した。


「やれやれ。間に合いましたか。」


俺たちの方に歩み寄ってきた吟遊詩人のような姿の男が笑みを浮かべている。


「おっ…お前があの骸骨達を?」


俺が問いかけると両手を上げて微笑みながら


「まさか。私はあなた方をあの異空間から連れ戻したんですよ。あ,あの蜘蛛は私の召喚獣です。テレポーテーションの魔法も私が。」


いきなり何を言い出すんだこいつは?

異空間?俺たちが元いた世界がか?んなこと言ったって俺はその世界で17年過ごしてきたんだぞ?


「その通りです。異論ありません。ですがその世界が約15分前に改ざんされました。そしてこちらの世界は差し詰め緊急避難所とでも言ったところでしょうか。この世界を作ったのはエリル王女。皆さん知っている通り今は異空間ですが,元の世界の王女です。彼女の魔法力は素晴らしいですからね。世界が改ざんされた1秒後にはこの緊急避難所を作ってしまいました。そしてこちらへの皆さんの輸送は転送魔法,いわゆるテレポーテーションが使えるもの全員が力を合わせてやっています。既に90%くらいは輸送済みでして。」


俺も含め3人は呆然としている。

いきなりそんなこと言われても困るな。


「それで…その改ざんしたのは誰なんですか?王女でも正体は掴めなかったと言う事でしょうか?」


レイはおどおどと聞いていたがその横のヘルは冷静に


「まず改ざんの魔法なんてランク10…もしくはそれ以上だな。聞いたことも無い。緊急避難所を作る魔法はスペースだろうからランク10,テレポーテーションはランク8…だったかな。って事はあなたもかなり魔術に詳しいんですよね。何か他に知りませんか?」


この二人の質問はなんともしっかりした質問だこと。俺なんか頼りないなぁ。本当に。


「まず改ざんをした相手の正体ですが,恐らくスペースの魔法でさらに別空間へ逃げ込んでいるので分かりません。改ざんの魔法は名称は知りませんがランク10の闇魔法だそうです。もっともこの世で使える人がいるとは思いませんでしたが。ちなみに先ほどの骸骨達を召喚したのも同一人物だと考えていいでしょう。これも闇魔法でランクは5。比較的初級なのであのような低い戦闘能力ですが,もっと上のランクになると,より強力な魔物が出てくるでしょうね。…他に知っていることといえば…その改ざんをした相手,まぁ敵とでもいいましょうか。その敵を倒すために王女が何か手をうとうとしている事くらいですね。詳細まで知りませんが。」


要するに俺たちはここで事が収まるまで待機って事か。


「そういえば…校庭に三人で行けって言ったのもあなたですか?」


確かに俺には聞こえたのだ。


「いえ…?私は何も言ってませんが。それにあなた方が校庭にいたのを発見したときは既に骸骨軍団に囲まれていましたし,そのような言葉をあなたに届けるための魔法はありませんね。確かに聞こえたのですか?」


今まで自分の記憶力は散々疑ったが今回は確信がある。


「そうですか…。なら王女に会ってみるといいかもしれませんね。何か知ってるかもしれませんし。王女のいる台座はここから左に真っ直ぐです。よろしければテレポーテーションで送りますが?」


さすがにお世話になりすぎるのも悪いし,ほかの人たちも救ってもらうために俺たちは歩いて王女のもとへ向かった。


「それではお気をつけて。…あ,よろしければこれをどうぞ。護身用程度にはなりますよ。」


そういってランク5の水魔法の魔道書を貰った。…誰も使えないよな…ランク5なんて。


「大丈夫です。こちらの世界では各個人の魔力が一定量増します。王女がそこまで配慮してくれたようです。おかげで私も魔法が簡単に使えます。魔法を連発で使うのは私でも疲れます。それではこのくらいで。幸運を祈ります。」


そういうわけでいきなりで何のことかよく分からなかったが三人で王女に会いに行くことにした。

確かに魔法の連発は俺も疲れるな。失敗でも。

俺たち三人は王女のいる場所へ歩み始めた。

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