家族の温かさ
「ねぇ!結香!」遠くで呼びかける声が聞こえる。
「結香!」肩をガシッと掴まれる。
振り向くと、心配そうなお父さんの顔が隣にあった。
私に呼びかけてるのは、お母さんだった。
「大丈夫なのか?」また、お父さんの大丈夫。
「大丈夫」にはもう、うんざりだった。
「大丈夫なわけないじゃない!」
自分でもびっくりするほど大きい声だった。
「私だって、不安だし。私にも、分からないの。
原因が分かるなら、何だってやる。でも、何をやっても、いっつも『異常なし』
検査ばっかりどんどん、どんどん増えってって、、、」
「もう、全然、全然、大丈夫じゃないの!」
「ごめん」とだけ言って、私は部屋に行った。
2人に怒鳴っても、何も解決しないのに。
分かってたのに。自分が止められなかった。
私、最低だ。
次の日、下に降りていくと、いつも通りの顔をしたお母さんとお父さんがいた。今日、日曜日なんだって思い出す。
「おはよう。昨日はごめん。」
昨日、あんなに酷いこと言ったのは私なのに。
お父さんは、続けて、
「『大丈夫』ばっかり言って嫌だったよな。結香に追い詰めさせて、、、本当にごめん。」
「私も、怒鳴ってごめんなさい。」
「さぁ、食べよ!」
お母さんが元気よく言った。
みんな、テーブルの上には、スプーンが乗っていた。
和食なのに。昨日の夜と同じメニューなのに。
家族の温かさを、心いっぱいに感じた。




