97.北への道のり
北方領主からノースエンド村での試験運用許可を得たオーロラ王女は、さっそく遠征の準備をはじめた。
数日後、オーロラ王女のもとに、10台のゴーレムが牽引する荷馬車団が用意された。
オーロラ王女はユイに語りかけた。
「この荷馬車団が北方の未来を切り開くのね。資材の準備、本当にありがとう」
ユイは静かに応じた。
「はい。荷台には、エテルナ村の農業プラント資材と、初期運用に不可欠な小型魔晄炉、そして北方開拓用に用意した開拓ツールが積まれています。これがあれば、ゴーレムだけで寒冷な北方の地を一変させられます」
オーロラ王女は深く頷き、この旅の重大さを改めて確信した。
さらに数日後、オーロラ王女はユイと共に王都を出発し、一路北を目指した。
旅は順調に進み、一週間が過ぎた頃、一行は人の手が薄い山間部へと差し掛かっていった。
道幅が狭まり、鬱蒼とした森が広がり始めると、オーロラ王女は緊張感を覚えた。
人里離れた深い谷間に入ったところで、オーロラ王女の一団は突如として襲撃を受けた。
十数名の武装した賊が、荷馬車の前方と後方を塞いだ
「女と荷を置いていけ!命までは取らぬ!」
賊のリーダーはそう吠えた。
しかし、その連携と組織的な動きは、彼らがただの賊ではないことを示唆していた。
賊が馬車に迫った、その時、馬車の周囲を固めていた付き添いが、一瞬にして殺気を放ち、戦闘態勢に入った。
賊のリーダーは、そのの異様な雰囲気に気づき、焦りの色を見せた。
「くそ、聞いていた話と違うぞ!ただの付き添いではない!」
ユイはメイからの情報により襲撃を予測し、王都の冒険者ギルドに護衛を依頼していた。
護衛団のリーダーが剣を抜き放ち、叫んだ。
「王女殿下に手出しはさせん!貴様らは俺たちの獲物だ!諦めて捕まれ!」
護衛団は賊の一団に猛攻をかけ、激しい戦闘が始まった。
賊たちは護衛が実力者であることに気づき、たちまち劣勢となった。
護衛団は混乱に乗じて賊の指揮官と思われる人物を捕縛した。
残りの賊たちは、リーダーが捕らえられたことに動揺し、山中へと逃げ去っていった。
その後も、オーロラ王女たちは二度、さらに大規模な襲撃を受けた。
しかし、いずれもメイからの情報によって、ユイが途中の街で対処に必要な冒険者を追加で雇い入れ、無事襲撃に対応する事ができた。
こうして、幾多の障害を乗り越え、オーロラ王女の一団は目的地のノースエンド村に到着した。
ここで、任務を終えた護衛の冒険者の一団は、捕縛した賊のリーダーを連れ、王都へと帰還していった。
オーロラ王女は村長に挨拶を済ませると、早速、村の外縁部に農業プラントを建てる事をユイに指示した。
ユイは荷馬車団を牽引してきた10台のゴーレムに建設作業を割り当てた。
幸い、ノースエンド村の近くには魔の森があり、魔石や建築資材が豊富に入手できる環境だった。
整地を行い、資材を運び、森から木を切り出し、組み立て作業を開始した。
それから数日の間、村人たちが驚愕の目で見守る中、ゴーレムは休むことなく作業を続けた。
ユイの指揮の下、高性能な農業プラントの骨格がみるみるうちに組み上げられていった。
そしてついに、外部の厳しい環境から完全に遮断された巨大な農業プラントが完成した。
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