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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第16章:賢者の選択

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81.裏の権力と声なき警告

三つの派閥の議論が膠着状態に陥る中、結論を急ぐ声が上がった。


王都錬金術師長オルデンが率いる直轄派の中から、ひときわ強硬な意見を持つ権力者が一歩前に出た。


冷徹な表情をした王都の諜報機関の長、ゾルダック伯爵。

彼は、アレンの技術は国家の秩序を乱す危険な存在だと断じ、その全権を国家が掌握すべきだと主張した。


「議論はもう十分だろう。エテルナ村の技術は、アレンという個人に依存している。我々が真に手に入れるべきは、その技術を無尽蔵に生み出す源、すなわちアレン本人だ。唯一の方法は、彼を秘密裏に王都へ連れ戻し、国家の管理下で研究を行わせること。それが、国家の未来を守る唯一の方法だ!」


彼の言葉は、現状に苛立ちを覚えていた多くの貴族たちの賛同を得た。


意見はこの裏の権力者に傾き、誰もがその決定に同意するかに見えた。


その時、議事堂の扉が勢いよく開かれ、一人の文官が慌てた様子で駆け込んできた。

彼は息を切らし、ただならぬ顔色で報告した。


「大変です、王都の市民掲示板に、真偽不明の怪しい情報が一斉に流れています!」


ざわめきが広がる中、貴族たちは一斉に自身の石版を取り出し、掲示板の情報を確認した。


彼らの顔色が一瞬にして変わった。


石版に表示されていたのは、諜報部が秘密裏に行ってきた陰謀や、不正な取引、そして貴族同士の裏切り行為についての情報であった。


中には、王都の防衛計画に関わる機密情報や、魔物との戦いに影響を及ぼしかねない危険な内容も含まれていた。


情報の出所は不明だが、その情報は辻褄があい、妙に信憑性があった。


その情報は、王都中に広まった石版から、無数の人々がそれを閲覧し、瞬く間に拡散されていた。


「一体…誰がこんなことを!」


ゾルダックの顔から血の気が失せ、彼の冷徹な表情はみるみるうちに恐怖に歪んだ。

議事堂内の人々はゾルダックの顔を見て、情報が真実だと確信し、自分に関わる情報がないか、議論をやめて食い入るように石版を見出した。


「やめろ、この情報はお前たちが見ていいものではない!」

ゾルダックの命令は誰の耳にも届いていなかった。


これまで築き上げてきた情報網が、まさかこんな形で崩壊するとは夢にも思わなかった。


ゾルダックが自らの権限で情報を消そうとしたその時、議事堂の扉が再び開かれ、武装した兵士が数人入ってきた。


彼らを率いる騎士は、ゾルダックの前に進み出ると、厳かな声で告げた。

「ゾルダック伯爵、国家反逆罪の疑いにより、ご同行願います」


ゾルダックは何も言えず、顔を白くしたまま兵士たちに連れられていった。


その後、直轄派の中から、ゾルダックに変わり強硬な意見を言うものはいなくなったが。

いまだ議題は平行線をたどっていた。

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