71.未知の発見と追跡
アレンはアイに、ドローンによる鉱脈探索の範囲を広げ、魔の森の奥の探索をお願いした。
探査を依頼した数日後、アレンはアイから報告を受けた。
「アレン様、魔の森の奥深くで、大規模な希少金属の鉱脈の反応を確認しました」
それは、村のゴーレム量産計画を十分に賄えるほどの、まさに夢のような発見だった。
しかし、アイは続けて警告を付け加えた。
「同時に、この鉱脈の周辺に、未知の集落らしき痕跡を検出しました」
この報告を受けたアレンは、単独での調査は危険だと判断し、フィオナに相談を持ちかけた。
フィオナは、アイの言う未知の集落の痕跡について聞いた瞬間、顔色を変えた。
「フィオナ、この場所のことをなにか知ってるの?」
アレンからの質問に、フィオナは言葉を濁した。
フィオナの様子に戸惑いながらも、アレンは魔の森へ出発する準備を進めた。
翌朝、アレンとアイが魔の森の入り口に立つと、すでにフィオナが待っていた。
彼女はいつもよりも、真剣な眼差しでアレンを見つめていた。
アレンが言葉をかけるよりも早く、フィオナは森の奥へと歩き出した。
アレンは、今回フィオナがこの調査をあまり望んでいないと感じながらも、フィオナの後を追い、道を進んだ。
数時間後、3人はアイが示した地点にたどり着いた。
そこには、鉱脈の露頭があったが、同時に人の手で築かれたと思しき、石造りの古い門が静かにそびえ立っていた。
アレンが門に手をかけようとしたその時、フィオナが震える声で言った。
「待ってくれ、アレン」
彼女は、意を決したようにアレンの目を見て、口を開いた。
「この先は、私の故郷だ」
この森に人が住んでいたという話はアレンは初めて聞いた。
「どういうこと?」
「ここには魔族が住んでいるんだ」
アレンは魔族という種族について聞いたことがなかった。
フィオナは、アレンの質問を無視して、ゆっくりと門を開けた。
その先に広がっていたのは、深い森の中にひっそりと隠された、失われた古代の都だった。
人間社会とは異なる、未知の文明が隠されていたという事実に、アレンはただ立ち尽くすしかなかった。
それは、かつて高度な技術で栄華を極めたであろう巨大な都が、深い森に静かに飲み込まれていく、壮大な終焉の姿だった。
円形の街路には、苔むした未知の機械の残骸が転がり、空中に浮かんでいたであろう巨大な建造物は、蔦と根に絡め取られ、大地に引きずり下ろされていた。
そこかしこに、光を失ったホログラムの残像が揺らめき、崩れかけた壁には、かつての繁栄を物語る幾何学的な紋様がぼんやりと浮かび上がっていた。
街全体が、まるで自然の意志によって時間を巻き戻されているかのようだった。
そしてその光景を前に、ふたたびフィオナが話しだした。
「私は、人間じゃない」




