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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第13章:人工魔石と転移装置

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68.転送装置の試作と本当の願い

「魔導転送装置?正直、どんなものか見当もつかない」


アレンが素直に答えると、アイは新たな設計図を表示した。


それは、門のような構造の機械で、門の周りに複雑な魔導回路が組み合わさった、見たこともない装置だった。


「これは、魔導転送装置の概念です。この門を通り抜ける事で瞬時に別の場所に転送させる技術です」


アレンとミリアは、その突飛な発想に言葉を失った。転送という概念は未だこの世界には存在しない、常識外れの機械だった。


「待ってくれ、アイ。転送装置だって?そんなものが、本当に可能なのか?」


アレンの問いに、アイは答えた。


「可能です。人工魔石の膨大なエネルギー、物体を転送する古代技術、そして錬金術師による制御技術を組み合わせることで、この原理は実現します。」


カレンは、この話を聞いて物流を根底から変えることが瞬時にわかった。この技術を使えば、飛行ゴーレムすら飛ばす必要がなくなるのだ。


「アレンさん。これはすごいことになりますよ!」


カレンはすばやくこの効果を理解した。


しかし、アレンの表情は曇っていた。彼の脳裏をよぎったのは、宮廷で自分の技術が権力争いの道具に使われた苦い記憶だった。


「この技術は…あまりにも危険すぎる」


アレンはそう呟くと、ミリアとカレンに顔を向けた。

「この転送装置は、世界を変える力を持っている。もしこれが軍事利用されたら…兵士や爆弾を一瞬で敵地に送り込めるようになるよね」


アイは事前にアレンの懸念を予測していたかのように、静かに語りかけた。

「アレン様。転送装置には、ここにいる皆様のみが扱えるよう、認証機能を取り付けております。さらにこの門は相手先が許可しなければ機能しません。外部から勝手に接続することも不可能です」


アイの言葉に、アレンは少しだけ安堵した。彼は、この転送装置は、自分たちが平和に暮らすための礎となる、というアイの言葉を思い出した。


アレンは、この「魔導転送装置」の概念に、錬金術師としての血が騒ぐのを感じた。

それは、これまでゴーレムや魔晄炉という、既存の枠組みの中で技術を磨いてきた彼にとって、全く新しい挑戦だった。


「わかった。転送装置を作ろう」


アレンとミリアは、早速アイの設計図を元に、錬金術回路の試作に取り掛かった。これまで誰も想像しえなかった複雑な魔導回路が、次々と形になっていった。


そして、いよいよ試験運用の段階に入った。

人工魔石工場の一角に、一対の転送装置が構築された。


転送装置のスイッチを入れると、ゴウンとニブい音がして立ち上がった。

両門のシグナルが赤から緑に変わり接続を確認できた所で、1体のゴーレムに片方の門を通過させた。


ゴーレムが門に接触した瞬間、まばゆい光が装置を包み込み、空間が揺らめいた。

光の中にゴーレムが消えたかと思うと、今度は反対の門が光りだした。


その後、アレンは2つの門の距離を徐々に離していった所、距離に関係なく

瞬間的に移動ができる事を確認できた。


次の日、アレンは自宅に転移装置を一つ作成した。

ミリアにここに待機してもらい、アレンとアイは魔の森の転送装置の所へ移動した。


アイに実験の開始をミリアに伝えてもらい、転送装置を稼働させた。

しばらくして転送装置はシグナルが緑に変わった後、まばゆい光を放ちだし、ゴーレムの移動に成功した。



その日の夜、アイは転移装置を作った本当の理由をアレンに話した。


それは王都にいるメイがアレンのいるエテルナ村へ帰りたいと思っていると。


アレンの代わりに単身王都へ行き、様々な問題に対応してくれたメイ。

これまでアイやメイは自分たちの考えを言うことは一度もなかった。


その気持ちを考え、アレンは王都に転移装置を作る事を許可した。


翌日、王都のメイのゴーレム工房の隅には転移装置が設置されていた。


人気のなくなった夜間に、実験は密かに行われた。

アレンの自宅の転移装置のシグナルが緑に変わった後、転移装置からメイが出てきた。


「おかえり、メイ」

アレンのその言葉に、メイは見たことのない微振動を繰り返した。

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