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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第9章:石板が紡ぐ村の革命

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49.アイによる要望の集約

「みんなの生活は便利になったような気がする。でも、本当にそうなんだろうか?」

アレンは工房で一人、不安を抱えながら思案に暮れていた。


「アレン様、村人全体の幸福度を高めるため、私の別の機能を活用しませんか?」

アレンは驚いて手元の石板を見つめた。


「私は、すべての石板を通じて発せられる、個々の小さなつぶやきや要望を広範囲にわたって集約し、分析することができます。村人たちが何気なく口にするつぶやきから、愚痴、あるいは提案まで、すべての声を拾い上げ、データとして整理することが可能です」


アイの提案に、アレンの目が輝いた。

それは、これまで村長や自身の個人的な聞き取りに頼っていた、非効率的で偏りがちな村の運営を根本から変える可能性を秘めていた。


「アイ、すぐにその機能を使って、村の現状を分析してくれ」


アレンの指示に、アイは瞬時に村全体のデータを提示しだした。

その圧倒的な情報量に、アレンは息をのんだ。

膨大な数のデータが瞬時に整理され、グラフや統計図として表示されていた。


「絵を描くことについての質問が、若者を中心に月間で300件増加しています。これは、彼らが新たな自己表現の手段を求めていることを示唆しています」


「共同菜園における水やりに関する質問が250件、日照時間についての相談が180件見られます。これは、村人たちがより質の高い野菜作りに関心を持っていることを示唆しています」


村人の要望を説明した後、アイは、少し声を潜めて続けた。


「また、アレン様と仲良くなるには。どうすればデートに誘えるかといった個人的な質問が、複数の方から寄せられていることを確認しました。誰が発言したかについては、私の守秘義務によりお答えできませんが…」


アレンはアイのデータを参考に、様々な解決策を講じていった。


若者たちの絵画に対する関心の高まりを受け、村長は共同のアトリエを作ることを決定した。

アレンは共同菜園のデータに基づき、日照時間に合わせて自動で水やりを行う新しいゴーレムを開発した。


しかし、これらの対策が本当に村人たちの悩みを解消したのか、アレンにはまだ確信が持てなかった。

そこで、数週間ごとにデータを再度分析することを習慣にした。


そして数週間後、アレンは再びアイに分析を依頼した。結果は驚くべきものだった。


「当初多かった絵画に関する質問は、前回に比べて20%減少しています。代わりに、共同アトリエで制作された作品の共有に関するつぶやきが大幅に増加しています」


「共同菜園の水やりや日照時間についての質問は、ほぼゼロになりました。代わりに、新しい品種の育て方や、収穫祭でどの野菜を展示するかといった、より発展的な話題が増加しています」


「一方、歌や楽器の弾き方を知りたいといった音楽に関する質問が、新たに50件以上寄せられています」


「そして、当初最も多かった『余暇に何をすればいいか』という漠然とした質問は、解決策を提供したことにより、前回より25%減少しています」


データは明確に語っていた。

アレンが講じた対策は、村人たちの潜在的なニーズを満たし、生活の質を向上させていたのだ。


これまで、村の決定は村長と一部の有力者によって行われていたが。

村人たちは、自分の小さな声が村全体の改善に貢献していることを実感し、村への帰属意識と誇りを高めていった。


それから数日後、アレンが村の中を歩いていると、女性たちから話しかけられる事が増えてきた。


「アレン様、最近は絵画に凝っているのですか?」

「ゴーレムの動き、本当にすごいですね!どうやってあんなに滑らかに動くのですか?」


皆どこかぎこちないながらも、石板を通じて得た情報を元に、アレンの興味を引こうと必死だった。


その様子に、アレンは戸惑いながらも、少しだけ頬が緩むのだった。

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