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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第8章:未来への選択

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44.変わりゆく村

新村の診療所で意識を取り戻したハルカは、命を救ってくれたアレンに、震える手でお金を差し出した。


「治療代だ。こんなことになってすまなかったね」


しかし、アイの声がそれを制した。


「救命措置にかかった費用は、あなたの想像をはるかに超えるものです。現地でのバイタル確認、ゴーレムによる診療所への搬送、特効薬の購入とゴーレムによる薬の配送、そして今受けている診療所の高度な医療など、非常に高額な費用がかかりました」


その非常な音声にハルカは震えた。


「そこまでして、私のような年寄りを助ける必要があったのかい? だったら、見殺しにしてくれてよかったじゃないか!」


ハルカが毒づくように言うと、アレンは静かに首を振った。


「そんなこと、言わないでください。……たとえ、どんなに費用がかかっても、俺はハルカさんに生きていてほしい。そう思ったんです。」


アレンの心からの言葉に、ハルカは打ちのめされた。命を救ってくれたのは、わたしが否定した新しい技術と、それを支える若者たちの優しさだった。ハルカはわたしの非を悟り、命の代償として示された莫大な費用を、心からの償いと、未来への投資と捉えた。


その夜、ハルカは眠ることなく考え続けた。そして翌朝、彼女は先祖代々受け継いできた私財の全てを売却し、得たお金を全て村長に渡した。


「これを、わたしの治療費に充てておくれ。そして残りは、村の発展のために役立ててくれ」


驚く村長と村人たちを前に、ハルカは静かに続けた。


「わたしは、新村へ引っ越す。新しい暮らしがどれほど素晴らしいか、この身をもって皆に伝えてやるよ」


ハルカはこの出来事をきっかけに考えを改め、新しい技術が伝統を壊すのではなく、むしろ大切な命や暮らしを守るためにあると悟った。そして、彼女の決断が、彼女に賛同していた村人全員の心を動かし、ついに全住民の移住が決定した。ハルカは自ら陣頭に立ち、一人ひとりに新しい村への移住を説いて回った。


「アレンは、あんたらを守るために必死なんだ。新しい暮らしは楽になる。安心しろ。このわたしが保証するからね」


そう言って、ハルカはアレンをにこやかに見つめ、隣にいたリリィに微笑みかけた。


「アレンはわたしの旦那を思い出すようないい男だ。リリィ、あんたもアレンの隣にいて、一緒に村を盛り上げておくれ」


思わぬハルカの言葉に、リリィは赤面する。しかし、この一言で場は和み、アレンの提案は大きな支持を得た。

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