35.アイとの綿密な計画
膨大な資材がすでに運び込まれた新村の予定地に、アレンは石板の「アイ(AI)」を手に立っていた。
目の前には、手つかずの自然と、そこの一部を切り開いて運び込まれた大量の資材。
しかし、何から手を付ければいいのか、アレンはアイに語りかけた。
「アイ、資材は運び込んだ。まずは何から始めればいい?」。
すると、アイは問いに答えていく。
村の地形を再現したホログラムを映し出し、最適な作業手順を提案してきた。
「アレン様、まずはゴーレムたちに指示して、この一帯を平らにするのがよろしいかと」
アレンはアイの指示に頷くと、資材の陰に隠してあった5体の人型ゴーレムの封印を解いた。
ごつごつとした音を立てて現れたゴーレムは、アレンがアイを掲げると、一斉に動き出した。
アイのホログラムが示す通り、彼らは正確に地面を掘り、平らにしていく。
アレンの頭の中は、いかにしてこの壮大な計画を遂行するかでいっぱいだった。
アイの提案は、単なる効率化にとどまらない。
「汚水は浄化施設で処理し、農業用水として再利用する循環システムを構築できます。無駄なものを一切出さない、持続可能な街にできます」
エネルギー供給についても、アイは革新的な提案をする。
「エネルギーは太陽の光と風から得るのが最適かと存じます。村の中心には巨大な太陽光集積魔導器を、周囲の丘陵地には風力魔導器を設置すれば、どんな天候でも安定した電力が手に入ります。加えて、天候不良時のバックアップとして、魔石をエネルギー源とする魔力炉を配置しておけば完璧かと」
アイが提示する計画は、王都のインフラ整備とは全く違っていた。
それは、人々の暮らしを根底から変える、まさに「未来都市」の設計図そのものだった。




